Spring BootでDTOを導入すべきデータ数の目安とは?

こんにちは。ゆうせいです。

Spring Bootでアプリケーションを開発していると、「このデータ、DTOを作った方がいいのかな?」と悩む瞬間、ありますよね。DTO(Data Transfer Object)は便利な仕組みですが、どのタイミングで使うか判断が難しいものです。

今回は、どのくらいのデータ数を扱うようになったらDTOの作成を検討すべきかを中心に、DTOの役割や使うメリット・デメリットを丁寧に解説していきます。


DTO(Data Transfer Object)とは?

まずは基礎からおさらいしておきましょう。

DTOの定義

DTOとは、データを外部や層の間でやり取りするための専用のオブジェクトです。

たとえば、Userというエンティティをそのままフロントエンドに返す代わりに、必要な項目だけを詰め込んだUserDtoを用意して、返却します。

例でイメージ!

// エンティティ
class User {
    Long id;
    String name;
    String password;
    LocalDateTime createdAt;
    ...
}

// DTO
class UserDto {
    String name;
    LocalDateTime createdAt;
}

このように、DTOを使うことで必要な情報だけをクリーンに切り出すことができます。


データが「何個以上」ならDTOを使うべき?

結論:明確な「個数のルール」は存在しない

でも、それだとモヤモヤしますよね?目安が欲しいところです。

判断基準の目安

データ項目数DTOの検討理由
1~2個基本不要単純なレスポンスで済むことが多い
3~4個ケースバイケースフロント用に整形が必要ならDTOを使う
5個以上DTOを推奨データの整理・再利用性・可読性が向上

つまり、「3つ以上のフィールドを扱うならDTOを考えよう!」というのが現場でのひとつの指標になります。


なぜDTOを使うのか?

メリット

1. 表示データと内部ロジックを分離できる

たとえば、パスワードや内部的なIDなど、フロントエンドには出してはいけない情報を安全に遮断できます。

2. 可読性・保守性が向上する

コントローラがシンプルになり、どんなデータを返しているのかが一目瞭然です。

3. APIの進化に柔軟に対応できる

APIの仕様変更にDTOだけで対応できる場合も多く、エンティティを直接変更する必要が減ります。


デメリット

1. クラスが増える

データごとにUserDtoProductDtoなどを作成するので、ファイル数が増えて煩雑に感じることも。

2. マッピングが手間

ModelMapperなどを使って自動化できますが、手動で書くとやや面倒です。

UserDto dto = new UserDto(user.getName(), user.getCreatedAt());

ただし、この手間を**「コスト」ではなく「安全装置」**と考えると、長期的にはプラスになります。


DTOが必要になる典型パターン

パターン1:APIごとにレスポンス構造が違う

たとえば、一覧表示と詳細表示で返す情報が異なる場合、それぞれDTOを分けた方が管理しやすくなります。

パターン2:複数のエンティティを組み合わせる

Order + Customerの情報をひとまとめにして返したいときなど、DTOがあると非常に便利です。

class OrderSummaryDto {
    String customerName;
    String productName;
    LocalDateTime orderDate;
}


判断に迷ったらこう考えよう!

チェックポイント

  • パスワードや内部情報を出していないか?
  • 今後、レスポンス仕様が変わる可能性があるか?
  • 同じ形式のレスポンスを複数箇所で使い回すか?

上記に1つでも「はい」があれば、DTOの導入を検討してみてください。


今後の学習の指針

DTOはシンプルなテクニックですが、アーキテクチャの健全性を保つ大事なパーツです。

次のステップとしては:

  • ModelMapperMapStruct を使った自動マッピング
  • Request用とResponse用でDTOを分ける設計
  • APIバージョン別にDTOを使い分ける設計

などを学ぶと、より実践的なアプリ設計ができるようになります。


いつも疑問に感じたときは、「将来的に拡張・保守しやすい構造になっているか?」を考えて設計してみてくださいね!


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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