WireGuardとは?新人エンジニア向けにわかりやすく解説

こんにちは。ゆうせいです。
今回は WireGuard(ワイヤーガード) について、新人エンジニア向けにわかりやすく解説します!
VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)を構築するための技術の一つですが、「そもそもVPNって何?」というところから説明するので、安心してください。


WireGuardとは?

WireGuardは、シンプルで高速かつ安全なVPNプロトコル です。
VPNとは、インターネット上で「暗号化された専用回線」を作る技術のこと。
例えば、リモートワーク中に会社のネットワークに安全に接続したり、公共Wi-Fiを使うときに通信を暗号化したりできます。

従来のVPN(OpenVPNやIPsec)と比べて、WireGuardは以下の特徴があります。

  1. シンプルな設計(コードが少なく、わかりやすい)
  2. 高速な通信(最新の暗号技術を使い、処理が軽い)
  3. 高いセキュリティ(最新の暗号アルゴリズムを採用)

「VPNは難しい…」と思うかもしれませんが、WireGuardなら 簡単に設定できる のがポイントです。


なぜWireGuardを使うのか?

従来のVPN(OpenVPNやIPsec)と比較すると、WireGuardには多くのメリットがあります。

1. 圧倒的にシンプルな設計

従来のVPNプロトコルは、コードの量が非常に多く、管理が大変でした。

VPNプロトコルコードの行数(目安)
OpenVPN約40万行
IPsec約60万行
WireGuard約4000行

WireGuardは たった4000行 で動作するため、バグが少なく、トラブルシューティングも簡単 です。
エンジニアにとって、シンプルなコードは理解しやすく、セキュリティ的にも有利です。


2. 高速な通信

WireGuardは、カーネル(OSの中心部分)に組み込まれて動作 するため、非常に高速です。
従来のVPNはユーザースペースで動作し、パケット処理にオーバーヘッドが発生していましたが、WireGuardはその無駄を省きます。

速度比較(同じ条件でのパフォーマンステスト結果)

VPNプロトコル通信速度(Mbps)
OpenVPN100 Mbps
IPsec150 Mbps
WireGuard300 Mbps

2~3倍の速度 で通信できるため、リモートワークやゲーム用途でも快適に使えます。


3. 最新の暗号技術で安全

WireGuardは、最新の暗号アルゴリズム を採用しており、セキュリティが高いです。

WireGuardが採用する暗号アルゴリズム

  • ChaCha20:高速かつ安全な暗号方式(AESより軽量)
  • Poly1305:メッセージ認証コード(改ざんを防ぐ)
  • Curve25519:安全な鍵交換(データを傍受されにくい)
  • BLAKE2:ハッシュ関数(データの整合性チェック)

このように、WireGuardは 最新の技術で構成されているため、安全でありながら処理が軽い という特長を持っています。


WireGuardの仕組み

WireGuardの基本的な動作を理解するために、従来のVPNとの違いを説明します。

  1. 従来のVPN(OpenVPNやIPsec)
    • 接続時に「認証」と「暗号化」の手続きが多い
    • 設定ファイルが複雑で管理が大変
    • 使わないときでも接続が維持され、リソースを消費する
  2. WireGuard
    • 「公開鍵暗号方式」を採用し、認証がシンプル
    • 必要なときだけ動作し、普段はオーバーヘッドなし
    • 設定ファイルが非常にシンプル

WireGuardの基本用語

WireGuardを使うときに出てくる用語を押さえておきましょう。

用語説明
InterfaceVPNの仮想ネットワークインターフェース(トンネルを作る部分)
Peer通信する相手(VPN接続するデバイス)
Private Key自分だけが持つ秘密鍵(認証用)
Public Key相手に共有する公開鍵(認証用)
AllowedIPs通信を許可するIPアドレスの範囲

WireGuardの設定は、たった 1つの設定ファイル にまとめられるため、管理がとても簡単です。


WireGuardの設定方法(基本)

WireGuardをセットアップする手順を簡単に紹介します。

1. WireGuardのインストール

Ubuntuの場合:

sudo apt update
sudo apt install wireguard

2. 秘密鍵と公開鍵の生成

wg genkey | tee privatekey | wg pubkey > publickey
  • privatekey(秘密鍵)をサーバーに保存
  • publickey(公開鍵)をクライアントと共有

3. 設定ファイルの作成

サーバー側(/etc/wireguard/wg0.conf):

[Interface]
PrivateKey = サーバーの秘密鍵
Address = 10.0.0.1/24
ListenPort = 51820

[Peer]
PublicKey = クライアントの公開鍵
AllowedIPs = 10.0.0.2/32

クライアント側(wg0.conf):

[Interface]
PrivateKey = クライアントの秘密鍵
Address = 10.0.0.2/24

[Peer]
PublicKey = サーバーの公開鍵
Endpoint = サーバーのIP:51820
AllowedIPs = 0.0.0.0/0

4. WireGuardの起動

サーバー:

sudo wg-quick up wg0

クライアント:

sudo wg-quick up wg0

これだけでVPN接続が完了します!


WireGuardの用途

WireGuardは、以下のような場面で活用できます。

  • リモートワーク(社内ネットワークへ安全に接続)
  • パブリックWi-Fiの安全確保(カフェや空港のWi-Fiでも通信を暗号化)
  • サーバー間のセキュアな通信(データセンター間の通信を暗号化)
  • ゲーミングVPN(遅延の少ないVPN接続)

まとめ:WireGuardを学ぶべき理由

WireGuardの魅力

✅ シンプルな設計で管理が簡単
✅ 高速な通信でストレスなし
✅ 最新の暗号技術でセキュリティが高い
✅ 簡単な設定で誰でも使える

VPNを扱う機会があるエンジニアなら、WireGuardを使いこなせると 「セキュリティに強いエンジニア」 になれます!
ぜひ実際にセットアップして、VPNの仕組みを体験してみてください!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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