ITエンジニアとして知っておきたい「損益分岐点分析」

こんにちは。ゆうせいです。

今日は、ITエンジニアとして知っておきたい「損益分岐点分析」についてお話しします。損益分岐点という言葉を聞いたことがありますか?ビジネスや経営の分野ではよく使われますが、ITエンジニアにとっても非常に役立つ考え方なんです。例えば、新しいシステムを導入する際や、自分のフリーランスの収益を見直す際に活用できます。

では早速、この損益分岐点分析について詳しく見ていきましょう!


損益分岐点とは?

損益分岐点とは、収入と支出がちょうど同じになり、利益も損失も出ないポイントのことです。これを超えれば利益が出ますし、下回れば損失となります。具体的には次のような状況を指します:

  • システム開発費用を回収できる売上が確保できたとき
  • クラウドサービスの月額料金をペイできる顧客数を確保したとき
  • 自分のフリーランス収入が経費を上回る状態になったとき

例えば、カフェを経営する人なら「月にいくら売れば利益が出るか」を知りたいですよね。同じように、ITプロジェクトや業務でも「どのくらいのコストで、どれだけ売れば利益が出るか」を考えることが大切です。


損益分岐点を計算するための基本的な考え方

損益分岐点を計算するためには、以下の3つの要素を把握しておく必要があります:

  1. 固定費
    固定費は、売上が変動しても一定で発生する費用です。IT業界では次のようなものが該当します:
    • クラウドサービスの月額料金
    • ソフトウェアのライセンス費
    • オフィス賃料(リモートワークならツール代など)
  2. 変動費
    変動費は、売上や業務量に応じて増減する費用です。例えば:
    • プロジェクトごとの外注費
    • ユーザー数に応じたサーバー費用
  3. 販売単価
    商品やサービスを1つ売るときの金額です。ITエンジニアの場合、開発案件の受注金額や、自社プロダクトのライセンス料金がこれにあたります。

計算式

損益分岐点を求める計算式は次の通りです: 損益分岐点売上=固定費÷(1−変動費率)損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 - 変動費率)

変動費率とは、売上に占める変動費の割合です。具体的に言うと、 変動費率=変動費売上変動費率 = \frac{変動費}{売上}

例えば、あるITプロジェクトで以下のような費用構成だったとします:

  • 固定費:100万円
  • 変動費率:40%
  • 販売単価:20万円/案件

この場合、損益分岐点売上は、 100万円÷(1−0.4)=166.7万円100万円 ÷ (1 - 0.4) = 166.7万円

つまり、約167万円の売上を超えれば利益が出る計算になります。


ITエンジニアが損益分岐点分析を活用するシーン

1. フリーランスとしての収益見直し

例えば、あなたがフリーランスのエンジニアだったとします。月々の固定費(通信費、開発ツール費用など)が5万円、案件ごとの変動費(外注や交通費)が20%だとしましょう。さらに、1案件の売上が30万円なら、月に最低何件取れば利益が出るか計算できます。 損益分岐点売上=5万円÷(1−0.2)=6.25万円損益分岐点売上 = 5万円 ÷ (1 - 0.2) = 6.25万円

1案件で30万円稼げるなら、最低1案件受注すれば利益が出ると分かります。


2. 新しいプロダクトやサービスの採算性チェック

ITエンジニアが新規プロジェクトを立ち上げる場合も、損益分岐点を事前に把握しておくことが重要です。例えば、クラウドサービスを展開するとして、以下のコスト構成だった場合を考えます。

  • 固定費(サーバーや開発費用):50万円
  • 変動費率(ユーザー数に応じたサーバー負担):30%
  • 月額利用料金(ユーザーあたり):2000円

この場合、損益分岐点は以下の通りです。 損益分岐点売上=50万円÷(1−0.3)=71.4万円損益分岐点売上 = 50万円 ÷ (1 - 0.3) = 71.4万円

2000円の料金なら、ユーザー数で割り算して約358人以上の契約が必要という結果になります。


メリットとデメリット

メリット

  • 経営の判断がしやすい
    損益分岐点を把握すれば、リスクを見積もりやすくなります。
  • コスト削減のヒントが得られる
    固定費や変動費を見直すことで、損益分岐点を下げられるかもしれません。
  • 収益目標が明確になる
    「どれくらいの売上を目指せばいいか」が具体的になります。

デメリット

  • 正確なデータが必要
    変動費率や固定費を適切に把握しないと誤った計算になる恐れがあります。
  • 計算が複雑になることも
    特にITエンジニアリングでは、複数のコスト要素が絡むことが多く、計算が煩雑です。

今後の学習の指針

損益分岐点分析は、シンプルな計算でありながら、ビジネスの収益構造を理解する上で強力なツールです。まずは身近なプロジェクトや自身の仕事に当てはめて計算してみましょう。その結果をもとに、どの費用を削減すべきか、どのくらいの売上を目指すべきかを考えてみてください。

次は、キャッシュフローや利益率の分析方法も学ぶと、さらに深く収益性を理解できるようになりますよ!ぜひ挑戦してみてくださいね。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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