「Zen of Python」完全解説:全20格言を噛み砕いて理解しよう!

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、Pythonの美学とも言われる「Zen of Python(ゼン・オブ・パイソン)」のすべての格言を、Javaを学んできた新人エンジニア向けに、やさしく・丁寧に解説していきます!
「Zen of Python」は、詩のようで抽象的。でも、プログラミングの判断基準として非常に実用的なんです。
「Pythonってどう書けば“正しい”の?」と迷ったときの道しるべになりますよ。
Zen of Pythonとは?
Pythonのインタプリタにこう入力してみてください:
import this
すると、20行(実質19行+1ネタ)の格言が表示されます。
Zen of Python:全20格言をやさしく解説!
以下、ひとつひとつ見ていきます。すべてJavaの設計思想と比較しながら説明していきますので、「なるほど!」と感じるポイントがたくさんあるはずです。
1. Beautiful is better than ugly.(美しいほうが、醜いよりよい)
解説:
コードは「機能」だけでなく、見た目の美しさ・整然さも大切です。
Javaとの違い:
Javaでは、動くけれどゴチャゴチャしているコードが許容されがち。でもPythonでは読みやすさ・美しさも品質のうちとされています。
例え:
プレゼン資料。中身が同じでも、デザインがキレイだと説得力が違いますよね。
2. Explicit is better than implicit.(明示的なほうが、暗黙的よりよい)
解説:
意図がはっきり分かるコードにしよう。裏で勝手に動くような「マジック」はなるべく避ける、という姿勢です。
Javaとの違い:
Springなどで自動注入されるようなコードは便利ですが、「どこで何が動いているか分かりにくい」問題があります。Pythonはなるべく素直に書くことを好みます。
3. Simple is better than complex.(シンプルのほうが、複雑よりよい)
解説:
必要以上に凝った設計は避けて、わかりやすくて最短の方法を選ぼうという考え方です。
Javaとの違い:
Javaの設計は往々にして重厚です。FactoryやStrategyなどのパターンを多用しますが、Pythonでは辞書やラムダ式など、軽量な道具でシンプルに解決します。
4. Complex is better than complicated.(複雑なほうが、ややこしいよりよい)
解説:
必要な複雑さはあってもよいけれど、ごちゃごちゃして理解できない構造はNG。
Javaとの違い:
設計を詰めすぎると、システムは「複雑」から「ややこしい」へと転落します。Pythonでは、複雑であっても理解しやすい構造を目指します。
5. Flat is better than nested.(フラットのほうが、ネストよりよい)
解説:
ネスト(入れ子)構造は浅く保ちましょう。 深くなると読みづらくなります。
Javaとの違い:
if
の中にif
が入って、その中にfor
… なんてこと、よくありますよね? Pythonでは処理を関数に分けるなどして、コードの階層を浅くします。
6. Sparse is better than dense.(ゆとりがあるほうが、ぎゅうぎゅうよりよい)
解説:
詰め込みすぎのコードより、余白やインデントに余裕を持たせたコードのほうが読みやすいという意味です。
例:
1行に3つも4つも処理を詰め込むより、1つずつ見やすく書きましょう。
7. Readability counts.(読みやすさは重要)
解説:
読みやすさは絶対に犠牲にしてはいけません!
Javaとの違い:
Javaはしっかり書こうとすると長くなりがちですが、Pythonでは“人間の目で読んで理解しやすいコード”を第一優先としています。
8. Special cases aren’t special enough to break the rules.(特別なケースでも、ルールを破るほど特別ではない)
解説:
特別な事情があっても、ルールはなるべく守るべき。例外処理のためにコードがぐちゃぐちゃになるのは避けましょう。
9. Although practicality beats purity.(ただし実用性が純粋さに勝ることもある)
解説:
とはいえ、現実的な解決ができるなら、多少ルールから外れてもいいという柔軟性もあります。
補足:
これは前の格言(ルールを守れ)とのバランスを取るための一句です。
10. Errors should never pass silently.(エラーは黙って通してはならない)
解説:
エラーが起きたら、何が起きたか明示的に示すべき。無言でスルーされるエラーはバグの温床です。
11. Unless explicitly silenced.(ただし、明示的に無視する場合を除く)
解説:
上の補足です。どうしても無視したいときは、明確に意図を示して無視するのが大事です。
12. In the face of ambiguity, refuse the temptation to guess.(曖昧さに直面したら、推測で処理しようとしてはいけない)
解説:
曖昧な仕様・挙動に出会ったときは、安易に「たぶんこうだろう」と決めつけないこと。むしろエラーを出すべきです。
13. There should be one-- and preferably only one --obvious way to do it.(やり方は1つ、できれば唯一明白な方法であるべき)
解説:
複数の方法があるより、誰が見ても「この書き方がベスト」と思える一つのやり方が理想です。
Javaとの違い:
Javaはインターフェースと継承、構成の自由度が高いため、同じことを複数の方法で書けます。Pythonはもっと「一本道」な書き方を好みます。
14. Although that way may not be obvious at first unless you're Dutch.(ただしオランダ人でない限り、最初はその方法が明白とは限らない)
解説:
ジョークです。Pythonの作者Guido van Rossum(オランダ人)をいじった一文。
15. Now is better than never.(今のほうが、やらないよりマシ)
解説:
「完璧を待つより、とにかく始めよう」という姿勢です。学習にも開発にも大切な精神ですね。
16. Although never is often better than right now.(とはいえ、「今すぐ」はやらないほうがいい場合も多い)
解説:
焦って実装するより、必要かどうか考えてから動くのが大事。矛盾に見えるけど、両方大事です。
17. If the implementation is hard to explain, it's a bad idea.(説明しづらい実装は、よくない実装)
解説:
自分でも他人でも、口で説明できないコードはよくないということ。
Javaとの違い:
凝ったデザインパターンを組みすぎて「結局これ、何してるの?」となるケース、ありませんか? Pythonではそれを避けるべきという教訓です。
18. If the implementation is easy to explain, it may be a good idea.(説明しやすければ、良い実装かもしれない)
解説:
逆に、説明しやすいコードはGood! これは非常にシンプルな判断基準です。
19. Namespaces are one honking great idea -- let's do more of those!(名前空間は超すごいアイデア――どんどん使おう!)
解説:
モジュールやクラスを分けることで衝突を防ぐ名前空間の考え方は、非常に良い設計なので、積極的に使おうということ。
20. (実は存在しないルール)
import this
で出てくる格言は19個ですが、「The Zen of Pythonには20の格言がある」と言われています。
最後の1つは、“あなたがこれから発見するもの”とも言われており、読者自身が体得していくべき美学とも受け取れます。
最後に:これからどう学んでいけばいい?
Zen of Pythonは詩的ですが、非常に実践的です。
まずは次のステップとして、次のような内容に進んでみましょう:
ステップアップの学習指針
テーマ | 内容 |
---|---|
Pythonicコードとは何か | 「Zen of Python」を実践した書き方のこと。実例で学ぼう |
PEP8(スタイルガイド) | Pythonでの書き方の公式ルール。読みやすさ向上に必須 |
Python標準ライブラリの設計思想 | Zen of Pythonの思想が反映された設計の宝庫 |
他言語との設計思想比較 | JavaやC#との違いを理解することで理解が深まる |
「Zen of Python」は、ルールブックというより“道しるべ”です。
迷ったとき、悩んだとき、ぜひこの格言たちに立ち戻ってみてくださいね。
また一緒にレベルアップしていきましょう!
セイ・コンサルティング・グループの新人エンジニア研修のメニューへのリンク
投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。