ニーチェ・ハイデガー・サルトルで学ぶ!エンジニアのための「存在と自由」の哲学入門

こんにちは。ゆうせいです。

コードを書く手が止まったとき、ふとこんな疑問が頭をよぎることはありませんか?

  • 「自分がこの仕事をする意味って何だろう?」
  • 「正しい選択なんて、本当にあるのか?」
  • 「AIや自動化が進んで、自分の価値って何?」

こうした問いは、技術の問題ではありません。存在の問題です。
そしてこの「存在とは何か?」「自由とはどう生きることか?」を本気で考えたのが、ニーチェ → ハイデガー → サルトルという3人の哲学者たちです。

今回は、エンジニアのキャリアや生き方に深く響くこのテーマを、わかりやすく解説します!


ニーチェ:神は死んだ。だから、価値は自分で作れ

● 誰?

19世紀ドイツの哲学者。既存の価値観を根底から疑い、新しい生き方の可能性を模索しました。

● どんなことを考えた?

ニーチェは、「神は死んだ」という言葉で有名です。これは宗教的な話ではなく、「今まで人間を支えてきた絶対的な価値(正しさ)が崩壊した」という意味です。

キーワード:価値の転換(価値の再評価)

  • みんなが「これが正しい」と思っていることを、疑え
  • 他人に与えられた正しさではなく、自分で価値を創り出す

エンジニア的に言うと…

  • 「このやり方が業界の標準です」→ 本当にそれが最善ですか?
  • 「流行っているからReact」→ 自分のプロジェクトには合っていますか?

もう一つのキーワード:超人(Übermensch)

  • 自分の意志で価値を創造する人
  • 惰性に流されず、未来を切り拓く存在

実践のヒント

  • 自分なりの設計哲学を持とう
  • 他人のコードをただ真似するのではなく、「なぜそうするのか?」と問い直そう

ハイデガー:あなたは「本当に」自分として生きているか?

● 誰?

20世紀ドイツの哲学者。ニーチェの影響を受け、「存在とは何か?」という問いを中心に思考を深めました。

● 何を考えた?

ハイデガーの代表作は『存在と時間』。その中で彼は、「人間は“存在”を忘れてしまっている」と主張します。

キーワード:現存在(げんそんざい)=ダス・ザイン(Dasein)

  • 人間は単なる“もの”ではなく、「自分自身の在り方を問う存在」
  • 「どう生きるか?」を問う責任を持っている

エンジニア的に言うと…

  • 「ただ指示通りにタスクをこなすだけ」→それは本当の“存在”ではない
  • 「なぜ自分はこれをしているのか?」→問い続けることが技術者としての“生”を豊かにする

キーワード:世人(せじん)性(Das Man)

  • 「みんながやっているから」と思考停止してしまう状態

→ ハイデガーは、「他人の期待に生きるな」「自分の死を見つめろ」と警告しました。強烈ですね…。


サルトル:「自由」であるとは、「選び続けること」

● 誰?

20世紀フランスの哲学者で、ハイデガーの影響を受けつつ、実存主義を完成させた人物です。

● 何を考えた?

サルトルはこう言います。

「人間は、自由という刑に処されている

どういうことでしょうか?

キーワード:実存は本質に先立つ

  • 人間には決められた役割や意味はない
  • だからこそ、「自分で意味を作る責任がある」

エンジニア的に言うと…

  • 「自分はまだジュニアだから」→それは“役割”でしかない
  • 「本当はリードをやりたい」→だったら、それにふさわしい行動を今すぐ始めるしかない

もう一つのキーワード:悪意の自己欺瞞(じこぎまん)

  • 「自分には選択肢がない」と思い込むこと
  • 「環境が悪い」と言い訳すること

サルトルはそれを「自由からの逃走」と呼び、強く否定しました。


三人の思想の流れを図で整理!

[ニーチェ]──「与えられた価値を捨て、自ら価値を創れ」
     ↓
[ハイデガー]──「他人ではなく、自分として生きよ」
     ↓
[サルトル]──「選び続けることこそ、自由である」
哲学者中心テーマ技術者への応用
ニーチェ価値の再評価惰性を疑う。独自の設計哲学を持つ
ハイデガー本来的な生き方他人ではなく「自分として」働く
サルトル自由と選択キャリアや技術を「自分で選ぶ」覚悟を持つ

存在と自由の哲学は、働き方の根本に効く!

  • 「なぜこの技術を選んだのか?」と問える人になる
  • 「自分はどんな価値を提供したいのか?」と考えられる人になる
  • 「他人に合わせる」のではなく、「自分が選ぶ」人になる

この3人が教えてくれるのは、他人や仕組みに頼らない“強い思考”の姿勢です。


今後の学習の指針

まずは以下の順で触れてみましょう。

  1. ニーチェ『ツァラトゥストラはこう語った』:価値を問い直す勇気をもらえる
  2. ハイデガー『存在と時間』:導入書で「現存在とは何か」をかじってみよう
  3. サルトル『実存主義はヒューマニズムである』:自由の意味をわかりやすく学べる講演録

難解な原書にいきなり挑む必要はありません。まずは自分の言葉で問いを立てる練習を始めてみてください。


これで、プラトンから始まった3つの哲学の流れが完成しました。

  • 1:問いの立て方(ソクラテス~アリストテレス)
  • 2:認識と社会構造(カント~マルクス)
  • 3:存在と自由(ニーチェ~サルトル)

あなた自身の問いを、エンジニアリングにどう生かせるか?
次のステップは自分自身の「哲学」を作っていくことです。

そのためのヒントが欲しければ、いつでも話しかけてくださいね。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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