マスターテーブルとトランザクションテーブルの違いとは?新人エンジニア向けにやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。
データベースの設計を学び始めたばかりのエンジニアの方にとって、「マスターテーブル」と「トランザクションテーブル」という言葉は、なんとなく聞いたことがあるけどピンとこない……ということ、ありませんか?
今回はこの2つのテーブルの違いと、それを明確に区別して使う理由について、初心者の方でも理解できるように解説します!
マスターテーブルとは何か?
まずはマスターテーブルについて見ていきましょう。
これは簡単に言えば、「今どうなっているか」という最新の状態を管理するためのテーブルです。
たとえば:
- ユーザー情報(名前、メールアドレスなど)
- 商品情報(価格、在庫数など)
- 社員情報(所属部署、役職など)
これらのデータは、変わることはあっても基本的に1つの項目につき1行だけが存在します。古い情報は更新(=上書き)されて、常に最新の状態を保ちます。
つまり:
マスターテーブルは「名簿」や「名鑑」に似ています。いまの情報だけが載っていて、過去の変更履歴は載っていません。
トランザクションテーブルとは何か?
次にトランザクションテーブルです。
こちらは、「いつ・誰が・どんな操作をしたのか」という履歴を時系列で記録するテーブルです。
たとえば:
- 購入履歴
- パスワード変更履歴
- ステータスの変更(例:注文の「処理中 → 出荷済み」)
このように、起こった出来事を記録し続けるのが特徴です。何か操作があったら、そのたびに1行ずつ追加していきます。
つまり:
トランザクションテーブルは「日記」や「監視カメラのログ」のようなものです。あとから振り返って、「何が起きたか」を細かく把握できます。
マスターとトランザクション、なぜ分ける必要があるの?
この2つを明確に分ける理由は大きく3つあります。
① 情報の性質が違うから
テーブルの種類 | 保存する内容 | 変更時の動作 |
---|---|---|
マスターテーブル | 最新の状態だけ | 上書きされる |
トランザクションテーブル | 全履歴 | 新しく追加される |
同じテーブルに混在させると、「履歴を残したいのに消えてしまった」「過去の状態が分からない」といった問題が発生します。
② トラブル対応や監査に必須だから
たとえば、ユーザーが「急にログインできなくなった」と言ったとき、トランザクションテーブルにパスワード変更履歴が残っていれば、原因を追跡できます。マスターテーブルだけでは「今の状態」しか見えないので、調査が難しくなります。
③ 設計や性能への影響が大きいから
履歴データは大量になりがちなので、トランザクションテーブルはパフォーマンスや保守性を考慮して設計する必要があります。一方、マスターテーブルは比較的軽量です。
例で理解しよう!
例1:社員の所属情報
- マスターテーブル:社員が現在どの部署に所属しているか
- トランザクションテーブル:過去にどの部署に異動していたかの履歴
例2:商品の在庫
- マスターテーブル:現在の在庫数
- トランザクションテーブル:いつどの商品がどれだけ入荷・出荷されたか
このように、それぞれのテーブルは用途がまったく違うんです。
まとめ:こんなふうに覚えよう!
- マスターテーブル:いまの情報だけ!「名簿」みたいなもの
- トランザクションテーブル:過去の履歴をぜんぶ残す!「日記」みたいなもの
この2つをきちんと分けて設計することで、システムはトラブルに強くなり、分析や改修もやりやすくなります。
次のステップとして…
「どんな情報をマスターで持つべき?トランザクションで持つべき?」という判断基準や、「履歴が必要かどうかをどう見極めるか」といったテーマもとても重要です。
次回は、マスターテーブルとトランザクションテーブルの設計判断について深掘りしてみましょう!
質問があれば、いつでもどうぞ!
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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