IDとパスワード以外も覚えさせられる?ブラウザのオートフィル機能の可能性と限界
こんにちは。ゆうせいです。
「名前や住所も自動で出てくるけど、あれってどうなってるの?」
「ID・パスワード“以外”の情報も、ブラウザに覚えさせることってできるの?」
そう思ったこと、ありませんか?
実は――可能です。しかもかなり幅広く。
今回は、新人エンジニアの皆さんに向けて、ブラウザの“自動入力機能”が覚えられる情報の範囲や、フォーム側での指定方法、そしてセキュリティ的な注意点まで、まるっと解説します!
ブラウザはID・パスワード以外に何を覚えられる?
主に以下のような「個人情報」や「連絡先情報」、「支払い情報」が対象です。
情報の種類 | 具体例 |
---|---|
氏名 | 姓・名・フルネーム |
住所 | 郵便番号・都道府県・番地・建物名 |
電話番号 | 携帯番号・固定電話など |
メールアドレス | ログインIDとは別の連絡用 |
クレジットカード情報 | カード番号・有効期限・名義 |
誕生日 | 年・月・日 |
ユーザー名 | SNS用・ショッピング用など |
職業・会社名 | フォームによっては対応 |
これらは、「オートフィル(Autofill)」と呼ばれる機能で記憶・補完されます。
どうやって「覚えさせる」の?
ポイントは、HTMLフォームに正しいname
属性やautocomplete
属性をつけることです。
例:氏名入力欄
<input type="text" name="given-name" autocomplete="given-name">
<input type="text" name="family-name" autocomplete="family-name">
例:クレジットカード情報
<input type="text" name="cc-number" autocomplete="cc-number">
<input type="text" name="cc-exp" autocomplete="cc-exp">
<input type="text" name="cc-csc" autocomplete="cc-csc">
例:メールアドレス
<input type="email" name="email" autocomplete="email">
autocomplete
属性に使える主な値(抜粋)
値 | 意味 |
---|---|
name | フルネーム |
given-name | 名前(名) |
family-name | 苗字(姓) |
email | メールアドレス |
tel | 電話番号 |
address-line1 | 住所1行目 |
cc-number | クレジットカード番号 |
cc-exp | クレジットカードの有効期限 |
cc-csc | セキュリティコード(CVVなど) |
図で理解!ブラウザのオートフィル対応の仕組み
┌──────────────┐
│ HTMLフォームに属性設定 │
└────┬─────────┘
↓
┌──────────────┐
│ ユーザーが入力 │
└────┬─────────┘
↓
┌──────────────┐
│ ブラウザが情報を記憶 │
└────┬─────────┘
↓
┌──────────────┐
│ 次回訪問時に自動入力 │
└────────────────┘
すべてのフォームで使えるわけじゃない?
覚えさせられない/しにくいケース:
- フォームに
autocomplete="off"
が指定されている - JavaScriptで入力フィールドを後から生成している
- ページがiframeやSPAなど動的構成になっている
- セキュリティ上、ブラウザ側が無効化している(例:クレカCVVなど)
セキュリティとプライバシーへの注意点
リスク | 解説 |
---|---|
盗み見 | 自動入力状態の端末を他人が操作することで情報流出の可能性 |
フィッシングサイト | 偽物のログインページが情報を盗み取るケース |
XSS(クロスサイトスクリプティング) | フォームに仕込まれた悪意あるコードで入力内容を盗まれる |
対策:
- 端末にはパスワードロックを
- 見知らぬサイトでは「保存しない」判断を
- パスワードマネージャーを活用して管理するのも有効!
数式的に表すなら?
読み方:オートフィルできるかどうかは、フォーム属性・ユーザーの許可・ブラウザのポリシーの関数で決まる
まとめ:ID・パスワード以外も、ブラウザは覚えてくれる!
ブラウザは、ログイン情報だけでなく、名前、住所、電話番号、カード情報なども自動記憶&入力可能です。
そのためには、フォーム側が正しく設計されていることが条件になります。
次に学んでおきたいこと
- HTMLフォームの設計とアクセシビリティ
- OWASP Top 10と安全な入力処理
- パスワードレス認証(FIDO2やWebAuthn)の仕組み
オートフィルを「使う側」だけでなく、「実装する側」としても理解できると、開発の幅がグッと広がりますよ!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
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