SeabornはMatplotlibを土台にして作られてい
こんにちは。ゆうせいです。
Pythonでデータを可視化しようとすると、必ず出会うのが Matplotlib と Seaborn という二つのライブラリですよね。どちらも素晴らしいグラフを描画できますが、「この二つ、どう違うの?」「どっちを使えばいいの?」と迷ってしまう新人エンジニアは少なくありません。
結論から言うと、この二つの関係は「Matplotlibは自由自在なカスタマイズが得意な基礎ツール、Seabornは美しい統計グラフを簡単に描くための応用ツール」です。そして、SeabornはMatplotlibを土台にして作られています。
今日は、この最強コンビの役割分担と、スマートな使い分け術を徹底解説していきます! 🎨
Matplotlibとは? - 自由自在なキャンバスと絵の具 🎨
Matplotlib (マットプロットリブ)は、Pythonのデータ可視化ライブラリのデファクトスタンダードです。つまり、最も基本的で、広く使われているライブラリだということです。“Matplotlib” は “MATLAB + plot + library” を組み合わせた造語です。
Matplotlibを例えるなら、「プロの画家が使う、白紙のキャンバスと、無限の色の絵の具セット」です。
この道具を使えば、単純な線グラフから、学術論文に載せるような複雑なグラフ、さらにはアニメーションまで、文字通り何でも描くことができます。グラフの線の太さ、マーカーの形、ラベルの位置、凡例のスタイルなど、隅々まで細かくコントロールできる究極の柔軟性が最大の武器です。
しかし、その自由度の高さゆえに、美しいグラフを仕上げるには、時として多くのコードを書く必要があります。
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
# データの準備
x = np.linspace(0, 10, 100)
y = np.sin(x)
# Matplotlibでプロット
plt.plot(x, y)
plt.title("Simple Sine Wave")
plt.xlabel("X-axis")
plt.ylabel("Y-axis")
plt.grid(True)
plt.show()
Seabornとは? - 美しいグラフを簡単に描くためのテンプレート
Seaborn (シーボーン)は、そんなMatplotlibをより美しく、より簡単に使うために作られたライブラリです。特に、統計的なデータの可視化に特化しています。
Seabornを例えるなら、「おしゃれな家のイラストが簡単に描ける、プロ仕様のテンプレートセット」です。
キャンバスと絵の具はMatplotlibのものを使いますが、このテンプレートを使えば、数行のコードで、複雑なデータの分布(ヒストグラム)、変数間の関係性(散布図)、相関(ヒートマップ)などを、洗練されたデザインで描き出すことができます。
また、PandasのDataFrameとの相性が抜群で、データフレームのカラム名を指定するだけで直感的にグラフを作成できるのも大きな魅力です。
import seaborn as sns
import numpy as np
# データの準備 (上と同じ)
x = np.linspace(0, 10, 100)
y = np.sin(x)
# Seabornでプロット (少ないコードで洗練された見た目に)
sns.set_theme() # これだけで見た目がモダンになる
sns.lineplot(x=x, y=y).set(title="Stylish Sine Wave")
plt.show()
二つの関係: SeabornはMatplotlibの上で動く
ここで最も重要なポイントは、「SeabornはMatplotlibの代わりではなく、Matplotlibを拡張するものである」ということです。
Seabornでグラフを描画すると、その内部ではMatplotlibが呼び出されて、実際の描画処理が行われています。つまり、SeabornはMatplotlibの強力なエンジンを借りて、その上に美しい装飾と便利な機能を追加した、いわば「着せ替えパーツ」や「アドオン」のような存在なのです。
この関係性のおかげで、私たちは「Seabornで手早く美しいグラフの骨格を作り、細かい部分の調整はMatplotlibの機能で行う」という、非常に強力な連携プレイができます。
import seaborn as sns
import matplotlib.pyplot as plt
import pandas as pd
# データの準備
data = pd.DataFrame({
'x': np.random.randn(100),
'y': np.random.randn(100) + 1,
})
# 1. Seabornで骨格を素早く作成
sns.scatterplot(data=data, x='x', y='y')
# 2. Matplotlibで細かい部分を調整
plt.title("My Custom Title", fontsize=20)
plt.xlabel("X-Value (unit)", fontsize=12)
plt.grid(True)
plt.show()
結論: どう使い分ける?
あなたの目的に合わせて、次のように使い分けるのがベストプラクティスです。
Matplotlib を使うべき時:
- 論文用など、グラフの隅々まで厳密にカスタマイズする必要がある時
- 折れ線グラフや棒グラフなど、基本的なグラフを手早くシンプルに作りたい時
- 3Dプロットなど、Seabornがカバーしていない特殊なグラフを描きたい時
Seaborn を使うべき時:
- とにかく見た目が美しいグラフを、少ないコードで手軽に作りたい時
- データの分布、相関、回帰など、統計的な関係性を可視化したい時
- Pandas DataFrame を使って、直感的にデータを扱いたい時
そして、最強の戦略は「基本はSeabornで描き、微調整はMatplotlibで行う」ことです!
まとめ: 二刀流で最強のデータサイエンティストへ
MatplotlibとSeabornは、競合するライバルではなく、お互いを補完しあう最高のパートナーです。
Matplotlibが提供する無限の柔軟性と、Seabornが提供する美しさ・手軽さ。この二つのライブラリを自在に使いこなす「二刀流」こそが、データを魅力的に語るための最短ルートです。
ぜひ、お手元のデータを使って、両方のライブラリで同じグラフを描画してみてください。その思想の違いと、連携の素晴らしさを、きっと体感できるはずですよ!