【初心者向け】金利が上がると債券価格が下がる?シーソーみたいな関係を徹底解説!

こんにちは。ゆうせいです。

「金利」と「債券」。ニュースでよく聞く言葉ですが、この二つにどんな関係があるか知っていますか?

「金利が上がると、債券の価格は下がる」という話を聞いたことがあるかもしれません。でも、なぜそうなるのか、すぐにはピンとこないですよね。

まるでシーソーのように、片方が上がるともう片方が下がる不思議な関係。

今日は、新人エンジニアのあなたに向けて、この金利と債券価格の面白い関係を、例え話を交えながら分かりやすく解説していきます!

この記事を読み終える頃には、きっと「なるほど!」とスッキリしているはずですよ。

まずは基本の「キ」!債券ってなんだろう?

関係性を知る前に、まずは主役の一人である「債券」についておさらいしましょう。

債券とは、一言でいうと「国や会社がお金を借りるために発行する、借用書」のようなものです。

例えば、国が新しい道路を作るためにお金が必要になったとき、「10年後に必ず返しますので、お金を貸してください。その代わり、毎年お礼として利子を支払います!」といって債券を発行します。

僕たちがその債券を買うということは、国にお金を貸してあげる、ということなんですね。

そして、お金を貸している間は、お礼として定期的に利子(専門用語で「クーポン」と言います)を受け取ることができ、満期(お金を返す約束の日)が来たら、貸したお金(額面金額)が全額戻ってくる、という仕組みです。

  • クーポン: 定期的に受け取れる利子のこと。
  • 償還日(しょうかんび): 満期のこと。貸したお金が返ってくる日。
  • 額面金額(がくめんきんがく): 満期に返ってくるお金の金額。

まずは「債券は、利子がもらえる借用書」とイメージしておいてください!

もう一人の主役!金利ってなんだっけ?

次に、もう一人の主役、「金利」です。

金利は、もっとシンプルに「お金のレンタル料」と考えてみましょう。

銀行にお金を預けると利息がもらえますよね。あれは、銀行に私たちのお金をレンタルさせてあげている、そのレンタル料というわけです。

この金利は、景気の状況など、様々な要因によって常に変動しています。

日本銀行が「政策金利を引き上げます!」なんてニュースが流れると、世の中全体の金利が上がる傾向にあるのです。

本題!金利と債券価格のシーソー関係を解き明かす

お待たせしました!いよいよ本題です。

なぜ、世の中の金利が上がると、すでに発行されている債券の価格は下がってしまうのでしょうか?

ここで、一つ想像してみてください。

あなたは1年前に、利率が「年1%」の債券を100万円で買ったとします。

この債券を持っていると、毎年1万円の利子(クーポン)がもらえるわけですね。

ところが今日、景気が良くなった影響で、世の中の金利が上昇しました。

その結果、新しく発行される債券の利率が、なんと「年3%」になったとします。

今から債券を買う人は、100万円で買えば毎年3万円の利子がもらえる、とても魅力的な状況です。

さて、ここで問題です。

あなたが持っている「年1%」の債券を、誰かに売りたくなったとします。

あなたはいくらで売りますか?

「100万円で買ったんだから、100万円で売りたい!」と思いますよね。

でも、買い手の立場で考えてみてください。

目の前には、100万円で買えて毎年3万円もらえる新しい債券(利率3%)があります。

そんな状況で、わざわざ100万円を払って、毎年1万円しかもらえないあなたの債券(利率1%)を買う人がいるでしょうか?

…いないですよね!

「どうしても売りたいなら、値段を下げてくれないと買えないよ!」と買い手は考えるはずです。

例えば、あなたの債券を98万円くらいに値引きして売れば、「利率は低いけど、その分安く買えるなら、まあいいか」と考える人が現れるかもしれません。

これが、金利と債券価格がシーソーの関係にある理由です!

  • 世の中の金利が上がる → 新しく発行される債券の方が魅力的になる → 既存の債券の人気がなくなる → 既存の債券の価格を下げるないと売れなくなる

逆に、世の中の金利が下がった場合も考えてみましょう。

もし、新しく発行される債券の利率が「年0.5%」に下がったら…?

あなたが持っている「年1%」の債券は、新しく発行されるものより魅力的ですよね!

今度は「ぜひその債券を売ってほしい!」という人が現れ、あなたは100万円より高い値段で売ることができるかもしれません。

  • 世の中の金利が下がる → 新しく発行される債券の魅力がなくなる → 既存の債券の人気が上がる → 既存の債券の価格を上げても売れるようになる

どうでしょう?シーソーの関係がイメージできたでしょうか?

もう一歩踏み込んでみよう!「利回り」という考え方

ここで、もう少し専門的な言葉「利回り」についても触れておきましょう。

利回りとは、投資した金額に対して、どれくらいの利益が得られるかを示す割合のことです。

先ほどの例で、あなたが100万円で買った利率1%の債券を、98万円に値下げして売ったとします。

この債券を買った人は、毎年1万円の利子を受け取れます。

この人にとっての利回りを計算してみましょう。

\text{利回り} (%) = \frac{\text{年間の利子}}{\text{投資金額}} \times 100

この式に当てはめると、

\text{利回り} (%) = \frac{1万円}{98万円} \times 100 \approx 1.02%

となります。

債券の利率(クーポン)は1%のまま変わりませんが、債券の価格が98万円に下がったことで、この債券を買った人の「利回り」は1.02%に上がったのです。

世の中の金利が3%に上がったので、それに近づくように、既存の債券は価格を落とすことで「利回り」を調整している、と考えることもできますね!

金利変動のメリット・デメリット

この金利と債券の関係は、投資家にとってどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

金利が上昇する局面

  • メリット: これから債券を買う人にとってはチャンスです!より高い利率の債券に投資できるので、将来もらえる利子が増えます。
  • デメリット: すでに債券を持っている人にとってはピンチ…。保有している債券の価値が下がってしまいます(これを「含み損」といいます)。

金利が低下する局面

  • メリット: すでに債券を持っている人にとってはチャンスです!保有している債券の価値が上がるので、売却すれば利益を得られるかもしれません(これを「含み益」といいます)。
  • デメリット: これから債券を買う人にとっては、利率の低い、魅力の少ない債券しか買えなくなってしまいます。

今後の学習のために

金利と債券の関係、奥が深いと思いませんか?

もしあなたがこの分野に興味を持ったら、さらに学習を進めてみることをお勧めします。

エンジニアであるあなたなら、きっと楽しめるはずです!

  • 割引現在価値: 将来もらえるお金(利子や償還金)は、現在の価値に換算するといくらになるのか?という考え方です。実は、債券の価格はこれで理論的に計算されています。
  • イールドカーブ: 債券の残存期間(満期までの期間)と利回りの関係を示したグラフです。金利の将来予測などに使われ、非常に重要な指標です。
  • プログラミングで金融分析: Pythonなどのプログラミング言語を使って、過去の金利データを分析したり、債券価格のシミュレーションをしたりすることもできます。まさにエンジニアの腕の見せ所ですね!

まずは、ニュースで「長期金利」という言葉が出てきたら、それが債券の価格にどう影響するのかを考えてみる癖をつけるところから始めてみてください。

経済の動きを読み解く面白い視点が、一つ手に入りますよ!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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