【経済の体温計】金利を上げると仕事が減る?景気と雇用のシーソー関係を解説!
こんにちは。ゆうせいです。
「景気が良い」「景気が悪い」とニュースでよく聞きますが、その「景気」をコントロールするために使われる道具が「金利」だって知っていましたか?
そして、その金利の操作が、実は私たちの仕事、つまり「雇用(失業率)」に大きな影響を与えているのです。
一見すると、「金利」と「失業率」って、全く関係なさそうに聞こえますよね。
でも、この二つはまるでシーソーのように、片方が上がるともう片方が下がるという、とても面白い関係にあるのです。
今日は、新人エンジニアのあなたに向けて、この経済の基本的なメカニズムを、身近な例えを使いながら解き明かしていきます!
主役の紹介:金利と失業率ってどんなキャラクター?
まずは、今回の物語の主役を2人、紹介させてください。
金利:経済の「アクセル」と「ブレーキ」役! 🚗
ここで言う金利とは、特に国の中央銀行(日本の場合は日本銀行)が決める「政策金利」を指します。これは、経済全体の方向性を決める、いわば司令塔のような存在です。
- 金利を下げる(利下げ): 景気の「アクセル」を踏むこと。世の中にお金が出回りやすくなり、経済活動を活発にします。
- 金利を上げる(利上げ): 景気の「ブレーキ」をかけること。世の中に出回るお金を減らし、経済の過熱を抑えます。
このように、中央銀行は金利というハンドルを使って、経済という大きな車を巧みに運転しているイメージです。
失業率:社会の「健康状態」を示す体温計!🌡️
失業率とは、働きたいのに働けていない人が、労働力人口(働ける人の総数)のうち、どれくらいの割合いるかを示す指標です。
この数値が低ければ低いほど、多くの人が仕事に就けている「健康な状態(景気が良い)」と言えますし、逆に高いと「不健康な状態(景気が悪い)」と判断できます。まさに、社会の健康状態を映し出す体温計のような存在ですね。
本題:金利が失業率を動かすメカニズム
さて、主役の2人が揃ったところで、いよいよ本題です。
金利という「車の操作」が、なぜ失業率という「体温計の数値」を動かすのでしょうか?
2つのシナリオで見ていきましょう!
シナリオ1:金利の「アクセル」を踏むと、仕事が増える! (利下げ局面)
ある時、国全体が不景気になり、失業率が高くなってしまいました。社会の体温は低く、みんな元気がない状態です。
- 中央銀行の決断: 「このままではいけない!景気を良くするぞ!」と、中央銀行は金利を下げる(利下げ)というアクセルを踏み込みます。
- 企業の動き: 銀行からお金を借りる際の利息が安くなります。すると、会社の社長さんたちはこう考えます。「こんなに安くお金を借りられるなら、新しい工場を建てよう!」「画期的な新商品を開発するための投資をしよう!」と、積極的にお金を使い始めます。
- 個人の動き: 私たち個人にとっても、住宅ローンや自動車ローンの金利が下がります。「今ならお得に家が買えるかも!」「新しい車に買い替えようかな」と、消費意欲が高まります。
- そして結果は…: 企業が投資をし、個人が消費をすると、世の中のモノやサービスがどんどん売れるようになります。企業の業績はグングン上向きに!すると、「事業が拡大して忙しくなったぞ!もっと人手が欲しい!」となり、採用活動が活発になります。その結果、仕事を探していた人たちが次々と就職し、失業率は下がっていくのです!
シナリオ2:金利の「ブレーキ」を踏むと、仕事が減る… (利上げ局面)
今度は逆のケースです。景気が良くなりすぎて、モノの値段が上がりすぎる「インフレ」という状態になってしまいました。社会の体温が上がりすぎている、いわば「熱が出ている」状態です。
- 中央銀行の決断: 「少し経済が過熱しすぎている。一度クールダウンさせよう」と、中央銀行は金利を上げる(利上げ)というブレーキをかけます。
- 企業の動き: 銀行からお金を借りる際の利息が高くなります。会社の社長さんたちは、「こんなに金利が高いなら、新しい工場を建てるのは今はやめておこう…」「コストを削減しないと利益が出ないな」と、投資や経費に慎重になります。
- 個人の動き: ローンの金利が上がると、家や車などの大きな買い物にためらいが生まれます。財布の紐が固くなるわけですね。
- そして結果は…: 世の中のモノやサービスが売れにくくなり、企業の業績は伸び悩みます。すると、「こんな状況では新しい人を雇う余裕はないな…」「残念ながら、一部の事業を縮小しなければ…」となり、採用が控えられたり、場合によっては解雇が増えたりします。その結果、仕事を失う人が増え、失業率は上がってしまうのです。
このように、金利と失業率はシーソーのような関係にあることが、お分かりいただけたでしょうか?
一歩進んだ知識:「フィリップス曲線」
実は、この「インフレ率(物価上昇)と失業率」のシーソー関係は、「フィリップス曲線」という経済学の有名な理論で説明されています。
中央銀行がインフレを抑えるために金利を操作するので、実質的に金利と失業率の関係を示している、と考えても良いでしょう。
- インフレ率が高い(金利を上げる局面) → 失業率が高い
- インフレ率が低い(金利を下げる局面) → 失業率が低い
この関係は、経済政策を考える上で非常に重要な土台となっています。ただし、経済は生き物なので、いつもこの理論通りに動くとは限らないのが、また面白いところでもあります。
今後の学習のために
金利と失業率の関係は、中央銀行が「物価の安定」と「雇用の最大化」という、時に相反する2つの目標(二兎)をいかに追いかけるか、という壮大なテーマに繋がっています。
エンジニアのあなたなら、この関係をデータで確かめてみるのも面白いかもしれません。
- APIでデータを可視化: 各国の中央銀行が発表している政策金利のデータと、失業率のデータをAPI経由で取得し、時系列でプロットしてみましょう。本当に逆の相関関係(逆の動き)が見られるか、自分の目で確かめると、感動もひとしおです。
- 中央銀行総裁の発言に注目: ニュースで日本銀行やアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)のトップが何を話しているかに注目してみてください。「インフレを懸念している」と言えば利上げの可能性が、「景気後退が心配だ」と言えば利下げの可能性が高まります。その発言から、未来の雇用環境が少しだけ予測できるかもしれません。
経済の仕組みが分かると、日々のニュースが立体的に見えてきます。ぜひ、この知的好奇心を大切に、学びを深めてみてください!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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