脱・平均点!「正規分布」と「ロングテール」で勝つキャリア戦略
こんにちは。ゆうせいです。
みなさんは、学校のテストで「平均点」を取ったとき、どんな気持ちになりましたか。
「あぁ、よかった。みんなと同じで安心だ」と胸をなでおろした経験、きっとありますよね?
学校では「平均的であること」は、落ちこぼれることもなく、目立ちすぎることもない、とても居心地の良い場所でした。しかし、社会に出ると話は少し変わってきます。ビジネスの世界において「平均的」ということは、時に「代わりがいくらでもいる」という意味になってしまうからです。
今日は、統計学の基本である「正規分布」と、ネットビジネスで有名な「ロングテール」という2つの考え方を使って、その他大勢から抜け出すためのキャリア戦略についてお話しします!
「正規分布」という名の巨大な山
まずは「正規分布(せいきぶんぷ)」について解説しましょう。言葉は堅苦しいですが、イメージはとても簡単です。
左右対称の「釣鐘(つりがね)」のような形をした山を想像してください。
真ん中が一番高く盛り上がっていて、左右に行くほど低くなり、裾野が広がっていく形です。身長や体重、そして学校のテストの点数など、世の中の多くのデータはこの形になります。
この一番高い真ん中の部分、ここが「平均」です。多くの人がここに集まります。
高校生の皆さんなら「偏差値」という言葉に馴染みがあるでしょう。偏差値50がちょうど真ん中の山の頂上です。
これを数式のような関係性で表すと、こうなります。
人数 平均への近さ
この記号( )は「比例する」という意味です。つまり、平均に近ければ近いほど、そこにはたくさんの人がいるということです。
キャリアにおいて、この「正規分布の真ん中」にいるということはどういうことでしょうか。
それは、安心感がある一方で、ライバルが山ほどいる「激戦区」に身を置いていることを意味します。「普通の事務処理ができる」「普通にコミュニケーションが取れる」。これは素晴らしいことですが、同じことができる人が100人いれば、あなたの希少価値はこうなってしまいます。
あなたの価値 1
100
これでは、なかなかお給料も上がりませんし、選ばれる理由も弱くなってしまいますね。
「ロングテール」というニッチな尻尾
そこで登場するのが「ロングテール」という考え方です。
先ほどの正規分布の山の、ずっと右端や左端を見てください。高さはとても低く、地面を這うように長く伸びている部分がありますよね。恐竜の尻尾のように見えることから、ここを「ロングテール(長い尻尾)」と呼びます。
かつて、お店の商品棚には限りがあったので、お店側は「山の中央(売れ筋商品)」しか置きませんでした。
しかし、Amazonのようなネットショップが登場したことで状況が変わります。物理的な棚の制限がないため、年に1冊しか売れないようなマニアックな本(尻尾の部分)も大量に置けるようになりました。
すると驚くべきことに、この「売れない本」たちの売上をすべて合計すると、「ベストセラー」の売上を凌駕するほどの規模になったのです。これが「ロングテール現象」です。
これをキャリアに置き換えてみましょう。
売上 単価
数
キャリアにおける「数(需要)」は少ないかもしれません。でも、ロングテール領域にはライバルがいません。つまり、その仕事を頼みたい人は、あなたにお願いするしかないのです。
戦略的なポジション取りのメリット・デメリット
では、私たちは「山(平均)」を目指すべきか、「尻尾(ニッチ)」を目指すべきか。それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。
正規分布の山(王道・ジェネラリスト)
多くの人が必要とするスキルを身につける戦略です。
- メリット
- 求人の数が圧倒的に多いので、就職先に困りにくいです。
- マニュアルや教材が整っており、学習しやすいです。
- 組織の中で共通言語を持って働けます。
- デメリット
- 競争が激しく、常に比較されます。
- 価格競争に巻き込まれやすく、給料が上がりにくい傾向があります。
- AIやシステムに代替されるリスクが高いエリアでもあります。
ロングテールの尻尾(ニッチ・スペシャリスト)
「昆虫食専門のライター」や「昭和のラジカセ修理職人」のような、特殊な領域です。
- メリット
- ライバルがいないため、「あなたにお願いしたい」と指名されます。
- 価格(報酬)を自分で決めやすいです。
- 自分の「好き」や「こだわり」を仕事にしやすいです。
- デメリット
- そもそも需要がなさすぎて、仕事にならないリスクがあります。
- 教材がなく、独学で道を切り拓く必要があります。
- 周りに理解されず、孤独を感じるかもしれません。
「掛け算」で自分だけのテールを作る
ここで私がおすすめしたいのは、いきなり誰もいない荒野(ロングテール)へ飛び込むことではありません。
「正規分布の山」で基礎体力をつけつつ、少しずつ軸をずらして「自分だけのテール」を作ることです。
例えば、「英語ができる人」は山ほどいます。
「プログラミングができる人」も山ほどいます。
でも、この2つを掛け合わせるとどうでしょう。
希少性 スキルA
スキルB
「英語で海外の最新技術を学び、それを日本向けにプログラムできる人」となれば、一気にライバルは減り、ロングテール側に近づきます。
さらに、「農業」という要素を足してみたら?
「英語×プログラミング×農業」。ここまでくれば、あなたはもう「アグリテックの専門家」として、その分野の第一人者になれるかもしれません。
今後の学習の指針
いかがでしたか?
「普通であること」は悪いことではありません。でも、もしあなたが「代わりのきかない存在になりたい」「もっと自分らしく働きたい」と願うなら、みんながいる山頂から少し離れて、麓(ふもと)のほうへ歩き出してみる必要があります。
今日からできることは、以下の3つです。
- 自分の「山」を知る:今、自分が勝負している場所は、どれくらいライバルがいますか?
- 「尻尾」の種を探す:他の人が「面倒くさい」「お金にならない」と敬遠しているけれど、自分は「面白い」と思えることは何ですか?
- 組み合わせる:今持っているスキルに、その「ちょっとしたマニアックさ」を足し算してみてください。
最初の一歩は勇気がいります。みんなと違う方向へ進むのですから。
でも、その道の先には、あなたにしか見えない景色と、あなたを必要としてくれる誰かが必ず待っています。
恐れずに、あなただけの「ロングテール」を育てていってくださいね!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
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