研修講師はエンターテイナー?歌手との共通点から学ぶ「惹きつける力」の磨き方
こんにちは。ゆうせいです。
みなさんは、研修やセミナーに参加して、どうしても眠くなってしまった経験はありませんか。一方で、好きなアーティストのライブに行くと、数時間があっという間に過ぎてしまいますよね。
なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか。
実は、優れた研修講師というのは、ある意味で「エンターテイナー」なのです。今日は、一見まったく異なるように見える「研修講師」と「歌手」の共通点と相違点を探りながら、人前で話をするときに大切な心構えについてお話しします。
これから人前で話す機会がある方や、誰かに何かを教える立場にある方には、きっと新しい発見があるはずです。さあ、一緒にステージの裏側を覗いてみましょう。
研修講師と歌手の意外な共通点
まず、この二つの職業には、驚くほど多くの共通点があります。どちらも「マイクを持って人前に立つ」仕事ですが、それだけではありません。
最も大きな共通点は、聴衆の感情を動かし、場を支配する必要があるということです。
場の空気を作る「アイスブレイク」
歌手がライブの冒頭で「元気ですか!」と叫んで会場を温めるように、研修講師も冒頭で場の空気を和ませる必要があります。これを専門用語で「アイスブレイク」と呼びます。
アイスブレイクとは、文字通り「氷を壊す」こと。初対面の参加者同士や、講師との間にある緊張感という氷を溶かし、話しやすい雰囲気を作る手法です。
例えば、高校のクラス替えの初日を想像してみてください。シーンとしていますよね。あそこで先生がちょっと面白い自己紹介をしてくれたら、ふっと空気が緩みます。あれがアイスブレイクです。
歌手が1曲目でアップテンポな曲を選ぶのと同様に、研修講師も冒頭でクイズを出したり、隣の人と自己紹介をさせたりして、参加者の心を掴まなければなりません。エンターテイナーとしての演出力が求められる瞬間です。
飽きさせない「デリバリースキル」
次に共通するのは、伝え方の技術です。これを「デリバリースキル」と言います。
ただ教科書を読み上げるだけの授業ほど退屈なものはありません。歌手が歌詞に感情を込めて強弱をつけるように、講師も声のトーン、大きさ、話すスピードを自在に操ります。
大切なポイントでは声を張り、考えさせたいときはあえて沈黙を作る。身振り手振りを使って視覚的に訴える。こうしたパフォーマンスの要素は、両者に共通して求められる必須スキルなのです。
決定的な違いは「ゴール」にある
しかし、研修講師と歌手には決定的な違いがひとつだけあります。それは、そのステージが終わった後に「何を残すべきか」というゴールです。
歌手のゴールは「感動」
歌手やアーティストの目的は、その場の空間を共有し、観客に感動や興奮を与えることです。「楽しかった」「癒された」「明日からまた頑張ろうと思った」という、感情的な満足感がゴールになります。いわば、非日常の体験を提供することが仕事です。
講師のゴールは「行動変容」
一方で、研修講師のゴールは「楽しかった」で終わってはいけません。参加者の行動が変わること、つまり「行動変容」が求められます。
行動変容とは、研修で学んだことを持ち帰り、実際の現場で「できる」ようになることです。
例えば、コミュニケーションの研修を受けたとしましょう。「講師の話が面白くて大爆笑した」だけで、翌日から部下への接し方が何も変わっていなければ、その研修は失敗です。逆に、多少話が真面目でも、翌日から部下の話を聞く姿勢が変わっていれば成功なのです。
歌手は「夢」を見せますが、講師は「現実」を変えなければなりません。ここにプロとしての厳しさがあります。
エンターテイナー型講師のメリットとデメリット
では、研修講師がエンターテイナーのように振る舞うことには、どんな良い点と悪い点があるのでしょうか。
メリット:学習意欲の向上
最大のメリットは、参加者の集中力が持続することです。
「動機づけ(モチベーション)」という言葉があります。人が何かをやりたいと思う心の力のことです。エンターテイナー性のある講師は、この動機づけが非常に上手です。「面白そう!」「もっと知りたい!」と思わせることで、難しい内容でも頭に入りやすくなります。眠気防止にも最強の効果を発揮しますね。
デメリット:「わかった気」になる罠
一方で、気をつけるべきデメリットもあります。それは「ショー効果」と呼ばれる現象です。
講師の話術があまりに巧みで面白すぎると、参加者はそれだけで満足してしまい、「いい話を聞いたなあ」という高揚感だけで終わってしまうことがあります。
中身よりも演出が勝ってしまうと、肝心の学びが定着しません。「楽しかったけど、結局何をすればいいんだっけ?」となってしまっては本末転倒です。エンターテイメントはあくまで手段であり、目的になってはいけないのです。
今後の学習の指針
いかがでしたでしょうか。研修講師は、歌手のようなエンターテイナー性を持ちつつ、同時に冷徹なまでに結果(行動の変化)を求める教育者でなければならないことが、お分かりいただけたかと思います。
もしあなたが「人に何かを伝える」スキルを磨きたいと思うなら、まずは日常の会話から意識を変えてみてください。
- 相手を楽しませる工夫をする(エンターテイナーの視点)
- 相手が理解し、行動できるよう配慮する(教育者の視点)
この両輪を回すことが大切です。
まずは、好きなYouTuberやテレビの司会者を観察してみましょう。「なぜこの人の話は聞き入ってしまうのか?」という視点で見たとき、そこには必ず、今日お話ししたようなテクニックが隠されているはずです。
そして、友人に面白い映画を勧めるとき、ただ「面白かった」と言うだけでなく、相手が「今週末、映画館に行こう!」と実際に行動したくなるような伝え方を試してみてください。それが、あなたの「伝える力」を磨く第一歩になります。
さあ、あなたの言葉で、誰かの心を動かし、行動を変えてみませんか?
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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