「Transformer全盛の今、RNNを学ぶ意味はあるのか?」

こんにちは。ゆうせいです。

「Transformer全盛の今、RNNを学ぶ意味はあるのか?」

というのは、多くの機械学習初学者やエンジニアが一度は抱く疑問だと思います。確かに、GPTやBERTなど、現代の自然言語処理(NLP)の主役は「Transformer」です。でも、それでもRNN(再帰型ニューラルネットワーク)を学ぶ価値はあるのか?という問いには、はっきり「はい」と答えたいです。

なぜそう言い切れるのか、順を追って説明していきましょう!


そもそもRNNとは?

まずはRNNって何?というところからおさらいしましょう。

RNN(Recurrent Neural Network)は、「時系列データ」や「系列データ」に特化したニューラルネットワークです。

例えで言うと…

本を1ページずつ読んで、前の内容を少し覚えながら読み進めるようなモデルです。
つまり「過去の入力を記憶して、次の処理に活かす」ことができるのが特徴です。


Transformerとの比較:何が違うの?

特徴RNNTransformer
入力処理一つずつ順番に処理並列に一気に処理できる
記憶能力過去に戻りづらい(長期依存が苦手)長期依存も扱える(Self-Attention機構)
計算速度遅い速い
モデル構造シンプル複雑

つまり、TransformerはRNNの弱点をカバーして、より高速・高精度な学習ができるのが強みなんですね。


それでもRNNを学ぶべき3つの理由

① ニューラルネットワークの「流れ」がわかるようになる

Transformerをいきなり学ぶのは、初心者にはハードルが高いです。
RNNはその前段階として、時系列データを扱う基礎的な考え方を理解するのに最適です。

たとえば以下の数式:

h_t = \tanh(W_{xh}x_t + W_{hh}h_{t-1} + b_h)
(h_t = tanh(W_xh × x_t + W_hh × h_{t-1} + b_h))

このように、「現在の入力 x_t と、前の隠れ状態 h_{t-1}」を使って、今の出力 h_t を求めるという基本構造は、LSTMやTransformerの基礎にもなっています。


② 軽量・小規模なモデルとして現役

Transformerは強力ですが、計算コストが非常に高いです。
一方でRNNは構造がシンプルなので、組み込みデバイスやリアルタイム処理など、限られたリソースで動かすにはいまだに有力な選択肢です。

③ LSTMやGRUなどの派生モデルは依然として使用されている

LSTM(Long Short-Term Memory)やGRU(Gated Recurrent Unit)はRNNの改良型で、一定の文脈保持能力を持ち、短文タスクでは今でも利用されています

たとえば音声認識、センサーデータの予測、時系列分析などでは、TransformerよりRNN系が向いていることもあります。


RNNを知っていれば、Transformerの理解も深まる!

Transformerは「自己注意(Self-Attention)」という概念が中心にあるため、直感的に理解しづらいです。

その点、RNNを通じて
「どうやって情報を記憶するのか」
「どうやって前の情報を使うのか」
という視点を持っておくと、Transformerの構造も自然に入ってきます。


まとめ:学習のロードマップ

これから自然言語処理や時系列データの分野に進むなら、以下の順で学ぶのがおすすめです!

  1. RNNの基礎(構造・数式・直感的な意味)
  2. LSTM・GRUなどの応用モデル
  3. Transformerの基礎構造(Self-Attention・Position Encodingなど)
  4. BERTやGPTなどの実装・応用

学びを積み重ねるうえで、土台がしっかりしていないと応用がきかなくなってしまいます。
だからこそ、RNNは今でも「捨てがたい学び」なんですね。

次は、実際にRNNを用いた時系列データの予測モデルを作ってみるとよいでしょう。Pythonのライブラリ(TensorFlowやPyTorch)で簡単に試せますよ!

学びは一歩ずつ、焦らず積み重ねていきましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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