【新入社員向け】なぜ海外旅行が高嶺の花に?インフレと為替の「意外な関係」を解説
こんにちは。ゆうせいです。
新入社員の皆さん、初任給をもらって「さあ、休日に海外旅行でも!」と計画を立ててみて、驚きませんでしたか。
「ハワイのランチが3000円?」「航空券が高すぎて手が出ない」
ニュースで「円安(えんやす)」という言葉を耳にすると思いますが、なぜ今、日本円がこんなに弱くなってしまったのでしょうか。実はこれ、世界のどこかで起きている「インフレ(物価上昇)」と密接に関係しているのです。
「物価が上がることと、円の価値に何の関係があるの?」と思いますよね。
今日は、経済のニュースが少し面白くなる、インフレと為替(通貨の交換比率)のシーソーゲームについて、わかりやすく解説します。
お金の流れを決める「金利」という磁石
インフレと為替の関係を理解するには、間に「金利」という接着剤を挟むと一気に謎が解けます。
まず、基本のメカニズムを頭に入れてください。お金というのは、寂しがり屋で欲張りです。常に「仲間(利息)がたくさん増える場所」を探して移動しています。
もし、A銀行の預金金利が5%で、B銀行が0.1%だとしたら、あなたはどっちにお金を預けたいですか。当然、A銀行ですよね。
これと同じことが、国単位で起きます。金利が高い国の通貨は人気が出て買われ(価値が上がる)、金利が低い国の通貨は売られます(価値が下がる)。
これを踏まえて、インフレの話につなげましょう。
「インフレ退治」が通貨を強くする?
ここ数年、アメリカでは猛烈なインフレが起きました。ハンバーガーや家賃の値段がどんどん上がってしまったのです。
インフレが進みすぎると生活が苦しくなるので、国(中央銀行)はどうするか。ブレーキを踏みます。そのブレーキこそが「金利を上げること」です。
金利を上げれば、みんながお金を借りにくくなり、買い物を控えるようになるので、物価の上昇が落ち着くからです。
ここで、先ほどの「お金は金利が高いところに集まる」というルールを思い出してください。
- アメリカでインフレが起きる
- インフレを抑えるために、アメリカが「金利」を上げる
- 世界中の投資家が「ドルを持っていれば高い利息がつく!」と考える
- みんなが円を売って、ドルを買う
- ドルが高くなり、円が安くなる(円安)
これが、今の日本で起きていることの正体です。
日本はアメリカほどインフレが激しくなかったので、金利を低く保っていました。その結果、「金利が高いドル」と「金利が低い円」という差が開き、どんどん円が売られてしまったのです。
つまり、他国のインフレ対策(利上げ)の余波が、為替を通じて私たちの通貨を安くしているというわけです。
メリットとデメリット
この「インフレと為替の連動」によって進んだ円安には、良い面と悪い面の両方があります。
デメリット(海外が遠くなる)
皆さんが実感している通り、輸入品が高くなります。iPhoneなどの海外製品、ガソリン、そして海外旅行の費用が跳ね上がります。日本国内で一生懸命働いて貯めた1万円の価値が、世界基準で見ると目減りしてしまっている状態です。
メリット(外貨を稼ぐチャンス)
一方で、日本の製品を海外に売っている企業(自動車メーカーなど)にとっては追い風です。海外で売れた1ドルが、日本円に換金するときにたくさんの円になるからです。また、外国人観光客にとっては「日本は激安パラダイス」になるため、たくさんの人が訪れ、観光地にお金を落としてくれます。
もし日本もインフレになったら?
「じゃあ、日本でもインフレが進めば、円安は止まるの?」と鋭い疑問を持ったあなた。素晴らしい質問です。
もし日本でも物価が上がり続け、日本銀行が「もう耐えられない、金利を上げよう!」と決断すれば、アメリカとの金利差が縮まり、円安が止まる(円高に戻る)可能性があります。
しかし、これには副作用もあります。前回の記事でお話ししたように、金利を上げると住宅ローンの返済額が増えたり、借金の多い企業の経営が苦しくなったりします。
あちらを立てればこちらが立たず。経済はまさにバランスを取るのが難しいシーソーなのです。
今後の学習の指針
新入社員の皆さんが、これからこの荒波をどう乗りこなすべきか、指針を提案します。
- 「FOMC」という言葉に反応するこれはアメリカが金利を決める会議のことです。ニュースで「FOMCで利上げが発表された」と聞いたら、「あ、また円安になるかも(海外旅行が遠のくかも)」と連想してみてください。
- 給料を「ドル換算」してみる自分の月給をその時のレートでドルに直してみてください。「数字(円)は増えているのに、ドル建てだと減っている」という現実に気づくかもしれません。これが、世界の中での自分の本当の市場価値を知るきっかけになります。
- 外貨預金や積立投資を知る資産をすべて「円」だけで持っていることは、日本がインフレ負けしたときのリスクになります。NISAなどを活用して、世界経済の成長を取り込む工夫を始めましょう。
為替は、世界経済の通信簿です。
今日からニュースの為替コーナーを、「今の世界のパワーバランスはどうなっているかな?」という視点でチェックしてみてください。きっと、今までと違った景色が見えてくるはずです!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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