プログラムやデータベースで使われる「バッククォート(`)」の役割とは?

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、バッククォート( ` )についてお話しします。

「バッククォートって聞いたことあるけど、何に使うの?」
「シングルクォート( ' )やダブルクォート( " )とは違うの?」

こんな疑問を持っている方に向けて、バッククォートの使われ方をわかりやすく解説していきます。


バッククォート( ` )とは?

見た目と位置

まず、「バッククォート」とはこの記号 → ` のことです。

英語では “backtick” や “grave accent” とも呼ばれます。
キーボードでは、数字の「1」の左隣、半角で「@」や「~」と一緒のキーにあることが多いです。

シングルクォート( ' )やダブルクォート( " )とは全くの別物なので、注意してください。


どんな場面で使われるの?

主な用途は以下の3つです。

用途使用例説明
① コマンドの実行(シェル)echo `date`コマンドの結果を文字列として取得
② データベースでの識別子の囲い(MySQLなど)SELECT `name` FROM `users`;テーブル名や列名を区別・保護する
③ JavaScript(テンプレートリテラル)let str = `Hello, ${name}`;文字列中に変数を埋め込む

それぞれ詳しく見ていきましょう!


① シェル(LinuxやUnix)でのコマンド実行

echo `date`

このように書くと、バッククォート内のコマンド(この場合は date)が実行されて、その出力結果が表示されます。

解説

  • `date` → 「現在の日付を出力するコマンド」
  • echo → 「出力するコマンド」
  • 結果として、現在の日付が表示される

現代的な書き方:$(...)

実は、現在ではバッククォートよりも$(...)構文のほうが推奨されています。

echo $(date)

読みやすく、ネスト(入れ子)にも強いからです。


② データベース(MySQL)での識別子の囲い

SQLでは、列名やテーブル名が予約語と被る場合があります。

SELECT `select`, `from` FROM `table`;

このように、通常使えないような名前(予約語)でも、バッククォートで囲うことで識別子(カラム名やテーブル名)として使えるようになります。

なぜ囲うの?

  • テーブル名や列名にスペース記号が含まれている場合にも使用
  • 他のSQL方言(PostgreSQLやSQL Server)では "ダブルクォート"[角括弧] を使うこともあるので、MySQL特有の書き方とも言えます。

③ JavaScriptでのテンプレートリテラル

let name = "Taro";
let msg = `こんにちは、${name}さん!`;

このようにバッククォートを使うと、文字列の中に変数を埋め込むことができます。

特徴

  • ${...} の中に式を書くと、その結果が埋め込まれる
  • 通常の文字列よりも複数行の記述が可能で便利

普通の文字列との違い

種類記号変数展開複数行対応
通常の文字列' や "××
テンプレートリテラル`

まるで、型抜きされたクッキーの型に、いろんな材料を流し込んで仕上げるような感覚ですね!


バッククォートのメリットとデメリット

メリット

  • 特定の言語機能を使える(例:テンプレートリテラルやコマンド埋め込み)
  • 識別子の保護(SQL)

デメリット

  • 他のクォートと見た目が似ていて間違えやすい
  • 読みづらい、特にネストが深い場合(シェルスクリプト)
  • IDEやエディタで補完が効かないこともある

数式での利用例は?

バッククォート自体は数式では使いませんが、プログラミング上で文字列や式の評価を表す部分で使われることがあります。

例(JavaScript)

let a = 5;
let b = 10;
let sum = `合計は ${a + b}`;

これは、

sum = "合計は 15"

という意味です。
日本語で言うと:

sum =「合計は」(a たす b)

という式になります。


まとめ

バッククォート( ` )は、見た目は地味でも非常に重要な記号です。

言語によって意味が変わるため、以下のように整理して覚えておきましょう。

分野役割使用例
シェルコマンドの実行echo \date``
SQL識別子の囲いSELECT \name` FROM `users`;`
JavaScriptテンプレートリテラル`Hello, ${name}`

今後の学習の指針

  • まずは使ってみよう!
    シェルやJavaScriptの簡単なコードでバッククォートを試してみてください。
  • 他のクォートとの違いを意識しよう
    シングルクォート、ダブルクォート、バッククォートの使い分けを表で整理してみましょう。
  • エディタや開発環境での補完を活用
    VSCodeやIntelliJなどのエディタでは、自動補完や色分けでミスを防げます。

バッククォートは、まるで「魔法の箱」のような存在です。
ぱっと見は地味でも、中に入れると特別な処理をしてくれるのです。

ぜひ、使いこなしてみてくださいね!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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