失敗しないエンジニアへの第一歩!「前提条件」を言葉にするだけで仕事が劇的に変わる理由

こんにちは。ゆうせいです。

あなたは開発現場で、一生懸命作ったプログラムを提出したとき、上司やお客さんからこんなことを言われた経験はありませんか。

「あれ、この機能、こういう動きだっけ?もっとこうなると思ってたんだけど」

背筋が凍りますよね。言われた通りに作ったはずなのに、なぜか違うと言われる。まるで狐につままれたような気分になるでしょう。でも、実はこれ、エンジニアの世界では日常茶飯事なんです。なぜこんな悲劇が起きてしまうのでしょうか。

今日は、プロジェクトマネジメントにおける最も基本的、かつ最強のスキルである「前提条件の言語化」について、一緒に紐解いていきましょう!

なぜ伝わったつもりになるのか?「暗黙知」の罠

まず最初に覚えてほしい専門用語があります。それは暗黙知(あんもくち)です。

これは、言葉にされなくても「なんとなくみんな知っているだろう」と思い込んでいる知識や経験のことを指します。たとえば、あなたが友だちに「カレー作っておいて!」と頼んだとしましょう。あなたは「当然、家のカレーといえばポークカレーだよね」と思っています。

しかし、頼まれた友だちの実家では、カレーといえばチキンカレーが定番だったらどうなるでしょうか。夕食に出てくるのは、あなたが想像もしなかったチキンカレーです。ここであなたは叫びます。「違う、そうじゃない!」と。

エンジニアの仕事もこれと全く同じことが起こります。「ログイン画面を作って」という指示一つにも、たくさんの「当たり前」が隠されているのです。パスワードは何文字?エラーが出たらどう表示する?

言葉にしていない「当たり前」は、他人には絶対に見えません。この見えないルールを、あえて言葉にして確認する作業こそが、プロジェクトマネジメントの第一歩なのです。

プロジェクトの計算式で見る「不確実性」

ここで少し、プロジェクトの見積もりについて考えてみましょう。仕事にかかる時間を計算するとき、多くの初心者は「作業する時間」だけを足し算してしまいます。

しかし、ベテランのプロジェクトマネージャーは、ここに「見えないリスク」を計算に入れます。これを簡単な式で表すと、以下のようになります。

現実的な工数 = 理想的な作業時間 \times 不確実性の倍率

この式を見てください。「不確実性の倍率」という部分がポイントです。これが、先ほどお話しした「前提条件がズレている可能性」です。

もし、前提条件が曖昧なままだと、この倍率は 2 倍にも 3 倍にも膨れ上がります。つまり、本来1日で終わるはずの仕事が、手戻りによって2日も3日もかかってしまうのです。

逆に、しっかりと「これはこういう意味ですよね?」と言語化できていれば、この倍率は 1.1 くらいまで下げることができます。数式で見ると、言葉にする重要性がよりはっきりとわかりますよね。

前提を言葉にするメリットとデメリット

では、なんでもかんでも言葉にして確認すればいいのでしょうか。ここでは公平に、メリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット:手戻りという悪夢から解放される

最大のメリットは、なんといっても「作ったのにやり直し」という最悪の事態を防げることです。最初に「カレーは豚肉ですか?鶏肉ですか?」と聞くだけで、悲劇は回避できます。

また、周囲からの信頼も厚くなります。「あいつに任せておけば、勝手な思い込みで走らないから安心だ」と思ってもらえるのです。これは新人エンジニアにとって、技術力以上に強力な武器になりますよ!

デメリット:最初は「うっとうしい」と思われるかもしれない

一方で、デメリットもあります。それは「細かい確認」そのものが、相手の時間を奪うことです。「そんなこと常識だろう、いちいち聞くなよ」という顔をされることもあるかもしれません。

しかし、ここでひるんではいけません。後になって「違うじゃないか!」と怒られる時間と、最初に5分だけ確認する時間。どちらが会社にとって損失が少ないかは明白です。勇気を持って聞いてください。

合意形成こそがエンジニアの守り刀

ここで、もう一つ大切な専門用語を紹介します。合意形成(ごういけいせい)です。

これは難しく聞こえますが、要するに「お互いに納得しましたね、握手!」という状態を作ることです。

新人のうちは、上司やお客さんに意見するのは怖いものです。ですが、プロジェクトマネジメントにおいて、沈黙は金ではありません。沈黙は「爆弾」です。

「このボタンを押したときの挙動は、Aという前提で進めますが、認識合っていますか?」

この一言をメールやチャットに残すこと。それが合意形成です。このひと手間が、あなた自身を守り、ひいてはプロジェクト全体を成功へと導くのです。

まとめと次のステップ

いかがでしたか。今日はプロジェクトマネジメントの基礎中の基礎、「前提条件の言語化」についてお話ししました。

技術力も大切ですが、仕事は結局のところ「人と人とのコミュニケーション」で成り立っています。「たぶんこうだろう」という思い込みを捨て、「念のため確認させてください」と言えるエンジニアになってください。

さて、今後の学習の指針です。

まずは、日常会話でも「主語」と「目的語」を省略せずに話すトレーニングをしてみましょう。そして、余力があればPMBOK(ピンボック)というプロジェクトマネジメントの知識体系の入門書を手に取ってみてください。世界標準のルールを知ることで、あなたの視野はさらに広がるはずです。

言葉にする力を磨いて、信頼されるエンジニアを目指しましょう。応援しています!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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