新人エンジニアが知っておきたい「ジラールの欲望理論」──なぜ人は“本当に欲しいもの”が分からなくなるのか?
こんにちは。ゆうせいです。
突然ですが、こんなことを思ったことはありませんか?
- 「周りの人が欲しがっているから、自分もそれが必要な気がする…」
- 「有名企業に入りたいと思っていたけど、それって本当に自分の夢だったのかな?」
実はこうした感覚、あなた一人のものではありません。
フランスの思想家ルネ・ジラールが指摘した「模倣的欲望(もほうてきよくぼう)」という考え方が、背景にあるのです。
今回は、エンジニアというキャリアを歩み始めたあなたにこそ知ってほしい、ジラールの欲望理論について、やさしく解説します!
ルネ・ジラールとは?
まずは人物紹介から。
ルネ・ジラール(René Girard)はフランス生まれの文芸批評家・哲学者・文化人類学者で、20世紀後半に活躍しました。
彼が提唱したのが、「欲望は他人から模倣するものだ」という、ちょっと衝撃的な理論なんです。
模倣的欲望とは?
ジラールの理論の核はこうです:
人は、自分で欲望を生み出すのではなく、他人の欲望を真似して生きている。
たとえば…
- あなたが最新のMacBookを欲しいと思うのは、実は「かっこよく使いこなしている先輩」を見たからかもしれません。
- 有名な外資系企業に就職したいのは、「その企業に入った同期が羨ましかった」からかもしれません。
これらはすべて、「自分で欲しいと思っているようで、誰かの欲望を模倣している」状態です。
三角形モデルで理解しよう!
ジラールはこの関係を「欲望の三角形」という形で表しました。
モデル(模倣の対象)
▲
│
│
主体(あなた) ───▶ 客体(欲しいもの)
- モデル:あなたが憧れる存在(例:先輩、SNSのフォロワー、上司)
- 主体:あなた自身
- 客体:あなたが欲しいと思っているもの(例:技術力、出世、iPad)
つまり、「欲しい」と感じる気持ちは、モデルの影響を受けて生まれているというわけです。
なぜ新人エンジニアにとって重要なのか?
新人の頃って、「何を目指せばいいのか」がよく分からないものです。
そこでつい、他人の基準で「なりたい自分」を決めてしまいがちです。
例えばこんな経験ありませんか?
状況 | 本音はこうかも? |
---|---|
技術カンファレンスに登壇したい | 本当は、人前で話すのは苦手 |
起業したい | 実は安定して働けるほうが落ち着く |
フルスタックになりたい | 実はフロントエンドだけ極めたい |
こういったズレは、模倣的欲望が原因である可能性があります。
欲望を見つめ直すには?
では、「本当に自分が望んでいること」に近づくにはどうすればいいのでしょうか?
方法1:自分の行動を振り返る
「何をしているときに集中できるか?」
「やっていて疲れないことは何か?」
自分の行動から自然に選んでいるものを観察すると、「本音の欲望」が見えてきます。
方法2:誰をモデルにしているのかを言語化する
「今、自分が憧れている人は誰だろう?」と考えてみましょう。
そしてこう問いかけてください:
「その人と同じことをしたいのか? それとも、その人みたいに“すごい”と思われたいのか?」
ここで後者なら、それは模倣的欲望の可能性が高いです。
方法3:沈黙の時間を作る
情報を遮断して、スマホも閉じて、ただ散歩したり本を読んだりしてみてください。
すると、「自分の声」が聞こえてくるようになります。
模倣的欲望のメリットとデメリット
メリット
- モデルを通じて成長スピードが速くなる
- ロールモデルを持つことで方向性が明確になる
- 初期学習ではとても有効(特にエンジニアには!)
デメリット
- 自分の価値基準が分からなくなる
- 他人との競争や嫉妬に苦しむ
- モチベーションが続かない(借り物の欲望だから)
エンジニアとして「自分の欲望」を育てるヒント
- 書く:ノートに「やりたいこと」と「なぜそれをやりたいのか」を書き出す
- 話す:信頼できる人と、自分の気持ちを話す
- 実験する:興味があることに小さく手を出してみて、反応を確かめる
最後に:欲望は自分のエンジンになる
ジラールの理論は、私たちが「何を求めているのか」を見つけ直すレンズになります。
欲望は悪いものではありません。
ただし、「誰の欲望を生きているのか?」を見極めることが、自分らしいキャリアを築く鍵になります。
今後は、「競争と嫉妬の心理」「他人と比較しない思考法」などもあわせて学んでいくと、より深くジラールの理論を実生活に活かせます。
ぜひ引き続き、一緒に学んでいきましょう!
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