組織の変革を成功に導く!ナドラーとタッシュマンの整合性モデルとは?

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、組織開発や人材育成に関わる方にぜひ知っておいてほしいフレームワーク、「ナドラーとタッシュマンの整合性モデル(Congruence Model)」について、わかりやすく解説していきます。


なぜこのモデルが人材育成に役立つのか?

突然ですが、こんな悩みはありませんか?

  • 優秀な人材を採用したのに、なぜか成果が出ない
  • 研修を実施しても、行動変容が起きない
  • チームの雰囲気が良くても、業績が上がらない

それ、組織内の「整合性」が崩れているからかもしれません。
ナドラーとタッシュマンの整合性モデルは、こうした課題の“構造的な原因”をあぶり出し、改善のヒントを与えてくれる理論なのです。


ナドラーとタッシュマンの整合性モデルとは?

モデルの全体像

ナドラー(David A. Nadler)とタッシュマン(Michael L. Tushman)が提唱したこのモデルは、組織を4つの基本要素に分解し、それらの「整合性(congruence)」をチェックすることで、組織パフォーマンスの源泉を理解しようとするフレームワークです。

以下の4つがその基本要素です。

要素名説明(どんなことを指すか)
タスク(Tasks)組織が果たすべき仕事や業務内容
個人(People)その仕事を行う人材のスキル・性格・価値観など
公式組織(Formal Organization)組織構造・ルール・報酬制度・権限分配など
非公式組織(Informal Organization)組織文化・人間関係・信頼関係・暗黙のルールなど

整合性(Congruence)とは?

たとえば、「人材のスキル(People)」が高くても、「そのスキルを活かす業務(Task)」が用意されていなければ、パフォーマンスは出ませんよね?
このように、要素同士が“うまく噛み合っているか”を分析するのが整合性モデルのキモです。

言い換えれば、「才能あるサッカー選手がいるのに、野球をやらせている」ような状態を見つけて、正すということです。


図解で理解する整合性モデル

         [環境(External Environment)]
                      ↓
         +-------------------------+
         |     入力(Input)       |
         |   - 戦略                |
         |   - リーダーシップ      |
         +-------------------------+
                      ↓
         +-------------------------+
         |   組織内部(Transformation)|
         |   ┌────────────┐         |
         |   │   Tasks     │         |
         |   ├────────────┤         |
         |   │   People    │         |
         |   ├────────────┤         |
         |   │   Formal Org│         |
         |   ├────────────┤         |
         |   │   Informal  │         |
         |   └────────────┘         |
         +-------------------------+
                      ↓
         +-------------------------+
         |     出力(Output)      |
         |   - 個人の成果          |
         |   - グループの成果      |
         |   - 組織全体の成果      |
         +-------------------------+

人材育成担当者が整合性モデルを使うメリット

1. 研修や配置が「戦略」と連動しやすくなる

戦略(Strategy)が「イノベーション重視」であれば、創造性を伸ばす研修や、自由度の高い組織文化が整っている必要があります。
モデルを使えば、研修設計や人事制度の整合性を点検できます。

2. 部署ごとのギャップを可視化できる

部署Aでは成果が出て、部署Bでは停滞している。
そんな時、「人が悪い」のではなく「整合性のズレ」があるのかも。
モデルを使うと、構造的な課題を可視化できます。


整合性モデルの活用ステップ

Step 1. 組織の現状をヒアリング

まずは、人・仕事・制度・文化について現場の声を集めましょう。アンケートや1on1が有効です。

Step 2. 各要素の整合性をマトリクスで評価

整合性ペア評価(○、△、×)課題例
Tasks × Peopleスキルと業務が合っていない
People × Informal Org×人間関係で摩擦がある
Formal Org × Task制度が業務にマッチ

Step 3. 優先度の高い整合性ズレにアクション

全部を一気に変えるのは非現実的。
まずは「成果に直結するズレ」から改善していきましょう。


よくある誤解と注意点

  • 誤解1:モデルは理論だから現場では使えない?
     →そんなことありません!簡単なマトリクスやヒアリングでも十分実践可能です。
  • 誤解2:整合性は完全じゃなきゃダメ?
     →100点を目指す必要はありません。「ズレに気づけること」自体が成果です。

今後の学習の指針

ナドラーとタッシュマンの整合性モデルは、非常に汎用性の高いフレームワークです。今後さらに理解を深めるためには:

  1. 自社の組織図や人事制度をこのモデルで分析してみる
  2. ケーススタディ(例:トヨタ、Google)の分析に当てはめてみる
  3. 人材配置や評価制度の見直しに活かす

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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