新人エンジニア必見!才能よりも大切な「やり抜く力(グリット)」の鍛え方とは?

こんにちは。ゆうせいです。

エンジニアとしてのキャリアをスタートさせたばかりのあなた、毎日楽しくコードを書いていますか?それとも、次から次へと現れるエラーメッセージや、覚えきれない新しい技術に圧倒されて、「自分には才能がないんじゃないか……」と落ち込んでいたりしませんか?

実は、エンジニアとして大成するために最も必要な要素は、生まれ持ったIQや才能ではないことが研究でわかっています。

では、何が必要なのか。

それが今回紹介する Grit(グリット) 、つまり「やり抜く力」です。今日はこの魔法のような力について、一緒に学んでいきましょう!


エンジニアの武器「Grit」とは何か?

まず、Gritという言葉を初めて聞いた方もいるかもしれませんね。これは心理学者のアンジェラ・ダックワース教授が提唱した概念で、「情熱」と「粘り強さ」を併せ持った力のことを指します。

単に「我慢強い」のとは少し違います。

たとえば、あなたがRPG(ロールプレイングゲーム)をプレイしているとしましょう。強い敵に一度負けただけで「もうやめた!」とコントローラーを投げるのではなく、「装備を見直そうか」「レベルを上げて出直そうか」と試行錯誤しながら、クリアという長期的な目標に向かって情熱を燃やし続ける状態。これがGritがある状態です。

成功の方程式

ダックワース教授は、個人の達成について非常に面白い方程式を提唱しています。ここで、少し数式を使って説明しましょう。もちろん、難しい数学ではありませんから安心してくださいね。

才能 \times 努力 = スキル

スキル \times 努力 = 達成

見てください。「才能」はあくまで最初の要素にすぎません。そこに「努力」を掛け合わせることで、初めて「スキル」になります。

しかし、それだけでは不十分です。身につけた「スキル」に、もう一度「努力」を掛け合わせることで、ようやく大きな「達成」が得られるのです。

つまり、努力は二重に効いてくるということです。「自分は文系だから」とか「未経験だから」と嘆く必要はありません。努力という係数を大きくすれば、最終的な成果はいくらでも変えられるのです!


なぜ新人エンジニアにGritが必要なのか

エンジニアという職業ほど、このGritが試される仕事はありません。なぜなら、私たちの仕事は「失敗」がデフォルトだからです。

プログラムは書いた通りにしか動きません。思い通りには動いてくれないのです。コンパイルエラー、論理エラー、環境構築のトラブル……。新人のうちは、1日の大半をエラーログの解読に費やすことだってあるでしょう。

ここでGritが低いとどうなるでしょうか?

「あぁ、またエラーだ。向いていないのかもしれない」と、思考が停止してしまいます。これを心理学用語で Fixed Mindset(硬直マインドセット) と呼びます。「能力は生まれつき決まっている」と考える思考の癖です。

逆に、Gritが高いエンジニアはどう考えるでしょうか?

「お、エラーが出た。ということは、ここまでは動いているけれど、この箇所に改善の余地があるんだな」と捉えます。こちらは Growth Mindset(成長マインドセット) と呼ばれ、「能力は努力次第で伸ばせる」と信じる思考です。

エラーを「自分の無能さの証明」ではなく、「解決すべきパズル」として捉えられるかどうか。これが、3年後に笑っていられるかどうかの分かれ道になります。


Gritを持つことのメリットとデメリット

「やり抜く力が大事なのはわかったけれど、とにかく根性で頑張ればいいの?」と思ったあなた。ちょっと待ってください。物事には必ず両面があります。Gritのメリットと、意外な落とし穴であるデメリットについて整理しておきましょう。

メリット

最大のメリットは、やはり「成長曲線が指数関数的になること」です。最初は理解できなくて苦しい技術書も、粘り強く読み解くことで、ある日突然「あ、わかった!」と点と点が線になる瞬間が訪れます。

また、周囲からの信頼も得やすくなります。「あの人に任せれば、簡単には投げ出さず、なんとかしてくれる」という評判は、エンジニアにとって最強の資産になります。

デメリット

一方で、デメリットも存在します。それは「撤退すべきタイミングを見誤る」ことです。これを「悪いGrit」と呼ぶこともあります。

例えば、明らかに設計が間違っているのに、「一度決めたから」といって無理やりコードを書き続けてしまう。あるいは、心身の健康を害しているのに、「休んだら負けだ」と思い込んでデスマーチ(過酷な労働状況)を続けてしまう。

これでは本末転倒です!

目的は「幸せに働き、価値あるプロダクトを作ること」であって、「苦しむこと」そのものではありません。時には「この方法は間違っていた」と認め、勇気ある撤退や方向転換(ピボット)をすることも、広い意味での「やり抜く力」に含まれることを忘れないでください。


今日からできる!Gritの鍛え方

「自分は飽きっぽいから無理かも……」なんて諦めるのは早すぎます。Gritは筋肉と同じで、後天的に鍛えることができるのです。明日から実践できるトレーニング方法を教えましょう。

1. 小さな成功体験を積み重ねる

いきなり「フルスタックエンジニアになる!」という巨大な目標を掲げると、あまりの遠さに挫折します。まずは「毎日1行でもコードを書く」「1週間でSQLの基本構文を覚える」といった、少し頑張れば達成できる目標を設定してください。

「できた!」という感覚が脳にドーパミンを放出させ、次の「努力」へのガソリンになります。

2. 「まだ」という言葉を口癖にする

もし何かがうまくいかなかったとき、「自分にはできない」と言うのをやめてみましょう。代わりにこう言うのです。

「自分には まだ できない」

この「まだ」というたった2文字が、脳をGrowth Mindsetへと切り替えてくれます。「現時点ではできていないけれど、将来的にはできるようになる」という可能性を自分に暗示させるのです。

3. 興味を深掘りする

情熱は、無理やり生み出すものではなく、興味から生まれます。自分がエンジニアリングのどこに面白さを感じるのか探求してください。フロントエンドの動き? バックエンドのロジック? それともインフラの安定性?

「好き」を見つけることが、結果として「粘り強さ」を生み出す最強の源泉になります。


今後の学習の指針

いかがでしたか?

Gritは、才能の有無に関わらず、誰でも手に入れられる最強のスキルです。今日うまくいかなくても、明日またPCを開いてコードを書き始める。その繰り返しが、あなたを誰も到達できない高みへと連れて行ってくれます。

これからの学習としては、まずは先ほど少し触れたキャロル・ドゥエックの「マインドセット」に関する書籍を読んでみるのがおすすめです。また、技術書を読むときは、一度で理解しようとせず、「わからなくて当たり前、何周もして理解しよう」という気持ちで取り組んでみてください。

焦る必要はありません。あなたなりのペースで、一歩ずつ進んでいきましょう!

あなたのエンジニアライフが、粘り強さと喜びに満ちたものになることを応援しています。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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