量子力学の「多世界解釈」と「コペンハーゲン解釈」をわかりやすく解説!

こんにちは。ゆうせいです。

量子力学を学び始めると、必ず出てくるのが「観測問題」です。粒子の振る舞いは観測するまでは確定せず、観測した瞬間に「波動関数が収縮する」と言われています。この現象をどう解釈するかで、物理学者たちはさまざまな意見を持っています。

その中でも代表的なものが「コペンハーゲン解釈」と「多世界解釈」です。特に、最近ではSFや哲学の分野でも「多世界解釈」がよく登場しますね。でも、そもそもこの二つの解釈はどんな考え方なのか?エンジニア向けにわかりやすく説明していきます!


1. 量子力学における観測問題とは?

量子力学では、電子や光子といった粒子は「波」としても「粒」としても振る舞うことが知られています。この性質は「二重スリット実験」でよく説明されます。

二重スリット実験とは?

  • 電子を1つずつ発射しても、スリットを通ると干渉縞(波の模様)が現れる。
  • しかし、どのスリットを通ったかを観測すると、干渉縞が消えてしまう。

つまり、観測しないと電子は「波」として振る舞い、観測すると「粒」のような振る舞いをするわけです。この「観測によって状態が変わる」という謎をどう解釈するかが、量子力学の大きな問題になっています。


2. コペンハーゲン解釈とは?

まず、コペンハーゲン解釈は、1920年代にニールス・ボーアやヴェルナー・ハイゼンベルクによって提唱された量子力学の主流派の解釈です。

コペンハーゲン解釈の主なポイント

  1. 量子状態は確率的にしか決まらない
    • 粒子の状態は「波動関数」で記述され、観測するまでは確率でしか存在しない。
  2. 観測によって波動関数が収縮する
    • 観測するまでは電子は「複数の可能性」を持っているが、観測した瞬間に1つの結果に収束する。
  3. 観測するまでは「存在している」とは言えない
    • 例えば、電子が「スリットAを通った状態」と「スリットBを通った状態」は重ね合わせになっており、観測するまではどちらにいるかは決まっていない。

エンジニア向けの例え

コペンハーゲン解釈をプログラミングで例えるなら、「量子状態」は関数の戻り値がランダムに変わる非決定性関数のようなものです。

import random

def quantum_measurement():
    return random.choice(["スリットA", "スリットB"])

print(quantum_measurement())  # 実行するまで結果はわからない

この関数は、実行するまで「スリットA」か「スリットB」かが決まりません。量子力学の観測前の状態もこれと似ています。


3. 多世界解釈とは?

一方で、多世界解釈(Many-Worlds Interpretation, MWI)は、1957年にヒュー・エヴェレットが提唱した考え方です。

多世界解釈の主なポイント

  1. 観測によって波動関数は収縮しない
    • 観測したときに、単に1つの可能性が選ばれるのではなく、「すべての可能性が並行して存在し続ける」と考える。
  2. 観測するたびに宇宙が分岐する
    • 例えば、「スリットAを通る世界」と「スリットBを通る世界」の両方が存在し、観測者もそれぞれの世界に分岐する。
  3. 量子力学は決定論的に進行する
    • 確率で決まるのではなく、すべての可能性が実際に起こり、別々の世界として分岐するだけ。

エンジニア向けの例え

多世界解釈をプログラミングに例えると、並列処理のようなものです。

import multiprocessing

def universe_A():
    print("スリットAを通った世界")

def universe_B():
    print("スリットBを通った世界")

if __name__ == '__main__':
    p1 = multiprocessing.Process(target=universe_A)
    p2 = multiprocessing.Process(target=universe_B)
    p1.start()
    p2.start()

このコードでは、2つのプロセスが同時に実行されるため、「スリットAの世界」と「スリットBの世界」が並行して存在することになります。多世界解釈もこれと似た考え方で、「観測するたびに新しい世界が枝分かれしていく」と考えます。


4. コペンハーゲン解釈 vs. 多世界解釈

コペンハーゲン解釈多世界解釈
波動関数の収縮観測によって収縮する収縮せずにすべての可能性が並行して存在
決定論 vs. 確率論確率的に結果が決まるすべての可能性が実現し、世界が分岐
宇宙の概念1つの現実しか存在しない無限の並行宇宙が存在
主な支持者ニールス・ボーア、ハイゼンベルクヒュー・エヴェレット

5. どちらの解釈が正しいのか?

どちらの解釈も数学的には同じ結果を与えるため、実験で決着をつけるのは難しいです。しかし、多世界解釈は「観測のたびに無数の宇宙が生まれる」と考えるため、哲学的な議論を引き起こしています。一方、コペンハーゲン解釈は「観測で確定する」とするものの、「なぜ波動関数が収縮するのか?」という問題が未解決のままです。

エンジニア視点では、「コペンハーゲン解釈はシンプルで実装しやすいが、多世界解釈は並列計算に似ている」と考えると、どちらも魅力的に見えるかもしれませんね!


6. まとめ

  • コペンハーゲン解釈:「観測すると確定する」→ シンプルな確率論的な考え方
  • 多世界解釈:「すべての可能性が実際に起こる」→ 並列宇宙の概念

どちらが正しいかはまだ分かりませんが、どちらの解釈も量子力学を理解する上で重要な概念です。興味を持ったら、さらに深掘りしてみてください!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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