【知らないと損する】「生き残りのバイアス」が新人エンジニアに与える影響とは?

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、「生き残りのバイアス(Survivorship Bias)」について、新人エンジニアのみなさんにも分かりやすく解説していきます。

この言葉を聞いて、「なんだか難しそう…」「自分には関係ないかな?」と思った方もいるかもしれません。でも実は、エンジニアとして成長していくうえで非常に重要な考え方なんです!

例え話を交えながら、専門用語もきちんと説明していきますので、安心して読み進めてくださいね。


生き残りのバイアスとは何か?

一言で言うと「見えているものだけで判断してしまうこと」

まず、「バイアス(bias)」という言葉から説明します。これは「偏り」や「先入観」のことを指します。

そして「生き残りのバイアス」とは、成功した事例や目立っている存在だけを見て、判断を下してしまう認知の偏りを指します。英語では "Survivorship Bias" と言います。

有名な例:第二次世界大戦の戦闘機

このバイアスの代表的なエピソードに、戦闘機の被弾箇所の分析があります。

第二次世界大戦中、アメリカ軍は帰還してきた戦闘機の弾痕を分析し、「多くの弾痕がある部分を補強しよう」と考えました。しかし、統計学者のエイブラハム・ウォールドはこう言いました。

「帰ってこられた戦闘機ではなく、帰ってこられなかった戦闘機に注目すべきだ。」

つまり、弾痕が少ない部分に当たった戦闘機は墜落してしまった可能性がある。帰還した戦闘機だけを見て判断するのは偏りだ、というわけです。


なぜエンジニアにとって重要なのか?

SNSで見かける「年収1000万エンジニア」や「月100時間の勉強法」

TwitterやYouTube、Qiitaなどで、「未経験から半年で年収1000万円!」「朝5時に起きて毎日4時間勉強!」といった情報を見たことはありませんか?

こういった情報を見ると、ついこう思ってしまいがちです。

  • 「自分もこうすれば成功できるのでは?」
  • 「この方法が正しいに違いない!」

でも、それは「生き残った(成功した)人たちの情報」だけを見ている状態なんです。

成功した裏には、何百人もの「挫折した人」「同じことをしてうまくいかなかった人」がいます。しかし彼らの声は表に出てこないため、気づきにくいのです。


グラフで見る生き残りのバイアス

次の図をご覧ください。

成功者(見える):   |■■■■■■■  
失敗者(見えない): |■■■■■■■■■■■■■■■■

これはたとえば「プログラミングスクールを受講した人のうち、エンジニアとして転職に成功した人(可視化される)」と、「途中で挫折した人、転職に失敗した人(可視化されない)」を表したものです。

この「見えていない部分」の存在に気づくことが、生き残りのバイアスを乗り越える第一歩です。


数式でも表現してみよう!

バイアスの影響を式にすると、こうなります。

見えている成功率 = 成功者 ÷(成功者 + 可視化された失敗者)
本当の成功率 = 成功者 ÷(成功者 + 失敗者全体)

つまり、実際の成功率よりも高く見えてしまうのが生き残りのバイアスです。


どんなときにこのバイアスに注意すべきか?

新しい技術を学ぶとき

「この技術を使えば稼げる!」という情報を鵜呑みにする前に、「実際に使って挫折した人はいなかったのか?」「ほかの技術と比べてどうなのか?」と考えてみましょう。

キャリア選択のとき

「フリーランスは儲かる」と聞いて独立したくなるかもしれませんが、「フリーランスになったものの仕事が取れず戻った人」はあまり発信していません。


メリットとデメリットを整理しよう

視点内容
メリット成功事例から学びやすい/モチベーションが上がる
デメリット失敗要因を見落としやすい/自分に合わない方法を選ぶ危険性がある

生き残りのバイアスを避けるには?

  • 失敗談にも目を向けること
    • Redditやnoteなどでは、失敗体験を正直に書いている人もいます。
  • 統計情報や複数の視点を持つこと
    • 1人の成功談ではなく、100人中何人が成功しているかを調べましょう。
  • 再現性を意識すること
    • 「誰がやっても同じ結果が出るのか?」という視点が大切です。

最後に:これから学ぶべきこと

エンジニアとして成長していくためには、冷静な判断力と、バイアスに気づく視点が必要です。

今後は以下のようなテーマも学んでいきましょう!

  • 他の認知バイアス(例:確証バイアス、現在バイアス)
  • 統計リテラシー(データの読み方)
  • メディアリテラシー(情報の真偽を見抜く力)

「成功の裏に、数えきれない挑戦と失敗がある」ということを忘れず、現実をしっかり見つめて判断できるエンジニアを目指していきましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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