メイヤーの法則とは?新人エンジニアが知っておくべき「情報と処理速度」の関係

こんにちは。ゆうせいです。

「情報は多いほうが親切なのでは?」
「図もテキストも動画もつけたし、完璧な資料!」

……そう思って、つい“盛りすぎ”ていませんか?
そんなときに思い出してほしいのが、メイヤーの法則(Mayer's Principles)です。

今回は、新人エンジニアに向けて、「学びやすい情報の出し方」や「資料・UI設計に必要な知識」として、メイヤーの法則を解説します!


メイヤーの法則とは?

正式には「メイヤーのマルチメディア学習理論(Mayer’s Multimedia Learning Theory)」と呼ばれ、
アメリカの教育心理学者リチャード・E・メイヤー(Richard E. Mayer)が提唱しました。

その中核となる法則がこうです:

人間の認知リソースは限られており、情報が多すぎると逆に理解や学習の効率が落ちる

つまり、「わかりやすさ=情報量」ではなく、
わかりやすさ=情報の質と出し方の工夫ということなんです。


メイヤーの主要な12の原則(簡易まとめ)

原則概要
マルチメディア原則文字だけより、画像+文字のほうが理解しやすい
空間的近接の原則関連するテキストと画像は、近くに配置すべき
時間的近接の原則説明とアニメーションは同時に提示すべき
冗長性の原則同じことを「音声+文字」で重複すると混乱する
整合性の原則関係ない情報は削除すべき
モダリティの原則画像+音声は、画像+文字より効果的なことが多い
個人化の原則口語調で話すと、理解しやすくなる
セグメンテーションの原則情報は一気に出すのではなく、区切って出す
先行オーガナイザー原則最初に「何を学ぶか」を示すと学習効果が上がる
信頼性原則ユーザーにとって信頼できる情報であること
音声の原則ナレーションは機械音声より人間の声のほうが効果的
イメージの原則話者の顔があっても学習効果には関係しない(過信しない)

エンジニアに関係あるの?

めちゃくちゃあります。

1. ドキュメントを書くとき

→ 図とテキストの位置関係を意識していますか?
→ 複雑な図に、同じ説明をテキストで重ねていませんか?(冗長性の違反)

2. UI・UX設計のとき

→ ツールチップ、ヘルプ文、アイコン説明が詰め込みすぎてないか見直しましょう
→ ユーザーに一度に出しすぎない設計が必要です(セグメンテーションの原則)

3. 新人への教育・指導時

→ 一気に詰め込むと覚えられないのは認知の限界のせいです。段階的にしましょう!


数式的に表すと?

\text{Learning Effectiveness} = f(\text{Clarity} - \text{Cognitive Load})

読み方:学習の効果 = 明瞭さ − 認知負荷の関数

つまり、いくら内容が良くても「負荷」が高いと理解できないということです。


図で見る「情報量と理解度の関係」

     理解しやすさ ▲
                    │         /\
                    │       /    \
                    │     /        \
                    │   /            \
                    │/                \___
                    └────────────────────▶ 情報量
                  少なすぎる   最適   多すぎる

情報が多すぎても、少なすぎてもダメ
ポイントは「ちょうどよく伝える」こと!


メリット・デメリット

項目内容
メリットユーザーに優しい設計ができる、学習効率が上がる
デメリット情報を“削る”判断が難しく、スキルが要る

新人エンジニアに伝えたいこと

  • わかりやすい資料とは「全部が入っている資料」ではなく、「必要なことが伝わる資料」
  • UIも同じ。伝えたいことが1つなら、画面も1つで済む方がいい
  • 情報を「足す力」ではなく、「引く力」を身につけよう!

次に学んでおきたいこと

  • ヒックスの法則:選択肢が増えるほど、決定までに時間がかかる
  • ミラーの法則(7±2の法則):短期記憶に保持できる情報は7つ前後
  • ゲシュタルト原則:人が「まとまり」として物事を認識する心理

設計も説明も、「わかりやすさ」は技術です。
ただ作るだけでなく、「どう伝えるか」を考えるエンジニアになりましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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