ニューラルネットワークの「重み付き和」に内積を使う理由をやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。

今回は「ニューラルネットワークの重み付き和に、なぜ“内積”を使うのか?」というテーマでお話ししていきます。

ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんが、大丈夫! 高校生でも理解できるように噛み砕いて解説していきます。


ニューラルネットワークってなに?

まずは軽くおさらいです。
ニューラルネットワーク(Neural Network)は、脳の神経細胞(ニューロン)を真似た仕組みで、入力を受け取って、処理して、出力する構造を持っています。

たとえば、手書きの「3」と「8」を見分けるAIがあったとします。画像のピクセル情報(明るさや色)を入力として受け取り、それをもとに「これは3だ!」とか「これは8っぽいな」と判断してくれるわけです。

では、この「判断」の部分、つまり「入力からどうやって答えを出すのか?」の仕組みを見ていきましょう。


「重み付き和」ってなに?

入力には「重み(weight)」という数字がかけられます。この重みは、「どの入力がどれくらい重要か?」を表しているんです。

たとえば次のような感じ。

  • 入力1(x₁):0.8(強い信号)
  • 入力2(x₂):0.2(弱い信号)
  • 重み1(w₁):2.0(強調する)
  • 重み2(w₂):0.5(あまり重視しない)

このとき、それぞれの入力に重みをかけたあとに、全部足すという操作をします。

この操作を「重み付き和」と呼びます。


いよいよ本題:「内積」ってなに?

内積(dot product)は、2つのベクトルをかけ合わせる数学の操作です。

ベクトルとは、複数の数を並べたものです。たとえば以下のように:

  • 入力ベクトル:x = [x₁, x₂, ..., xₙ]
  • 重みベクトル:w = [w₁, w₂, ..., wₙ]

この2つのベクトルの内積は、次の式で表せます。

x・w = x₁×w₁ + x₂×w₂ + ... + xₙ×wₙ
(エックス・ドット・ダブリューは、エックス1かけるダブリュー1 たす エックス2かけるダブリュー2 …)

これ、実は「重み付き和」そのものなんです!


なぜ「内積」を使うの?

ここが今日の核心です!

理由1:計算がコンパクトに書ける!

さっきの重み付き和の式、

x₁×w₁ + x₂×w₂ + ... + xₙ×wₙ

は長くて面倒ですが、内積を使えば

x・w

で済んでしまいます!
プログラムでも数式でもスッキリして、エラーも減ります。

たとえば、お小遣い帳で「りんご×値段+バナナ×値段+…」を毎回書くより、「合計金額 = 値段ベクトルと個数ベクトルの内積」とまとめられた方が楽ですよね!


理由2:行列計算と相性がいい

ニューラルネットワークでは、大量の入力や重みを扱います。人間が一つずつ計算するのは不可能です。

そこで登場するのが行列(matrix)という、数字を表にしたような構造です。

ベクトル同士の内積は、行列計算の基本操作なので、GPUやCPUで効率よく処理できます。

これにより、画像の分類や音声認識のような、大量のデータを高速に扱えるわけです。


理由3:幾何学的な意味もある!

内積には「2つのベクトルの方向が似ているかどうか」を測る意味もあります。

簡単に言うと:

  • 同じ方向を向いている → 内積は大きくなる
  • 正反対 → 内積はマイナス
  • 直角(関係なし)→ 内積はゼロ

つまり、入力が重みと似たような方向にあれば、そのニューロンは「強く反応する」という仕組みにもなっています。

これは、直感的に「この入力はこのニューロンにとって重要だな」と判断しているような感じですね。


まとめると

重み付き和 = 内積、という関係があります。

内積を使うことで:

  • 数学的にスッキリ
  • 計算が高速・効率的
  • 意味のある「反応」が表現できる

といったメリットがあるんですね。


逆に内積を使わないとどうなる?

たとえば、「重みをかけて足す」という操作を一つずつ手作業で書くことになります。これは

  • プログラムが長くなる
  • 拡張が難しい(1000個の入力があったら地獄)
  • 行列計算が使えないので、処理速度が落ちる

というデメリットばかり。

だからこそ、「内積」という便利な道具が選ばれているんです。


今後の学習のヒント

今回の内容をマスターできたら、次のステップとして以下のテーマにチャレンジしてみましょう!

  • 活性化関数(シグモイド、ReLUなど)ってなに?
  • バイアス項の役割とは?
  • ベクトルや行列の性質をさらに深掘り
  • 勾配降下法と誤差逆伝播法(学習の仕組み)

「なぜそうなるのか?」と問い続けることが、理解を深める一番の近道です!


それでは次回もお楽しみに!
質問や気になる用語があったら、気軽に教えてくださいね。


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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