【インフルエンサーの正体】「すごい人」から好かれる人が最強である理由

こんにちは。ゆうせいです。

皆さんはSNSを使っていますか?

「フォロワーを増やしたい!」「自分の投稿をバズらせたい!」というのは、現代人なら誰もが一度は抱く願いかもしれません。

では、質問です。

「フォロワーが100人いるAさん」と「フォロワーが100人いるBさん」。

この二人の影響力は、果たして同じでしょうか?

エンジニア的な視点で見ると、答えは「NO」です。

今日は、Google検索の根幹や、SNSのタイムラインを支配している「影響力の数式」について解説します。これを知ると、ネット上の「人気」のカラクリが見えてきますよ。

1. インフルエンサーを科学する「影響力の数式」

今回紹介するのは、Googleの創業者たちが考案した「ページランク(PageRank)」というアルゴリズムの基礎にもなっている、非常に美しい数式です。

A \cdot \rho_\infty = \rho_\infty

とても短くてシンプルですね。

しかしこの式は、「世界中のWebサイトの順位付け」という超巨大な計算を支えている概念そのものなのです。

2. 数式を解読しよう

この数式は、 「本当の影響力とは何か?」 を定義しています。

  • Aネットワークの地図(行列) です。誰が誰をフォローしているか、どのサイトがどこにリンクを貼っているかという「つながり」全体を表します。
  • \rho_\infty (ロー・無限大): 究極の影響力(定常分布) です。時間が経って落ち着いたときの、その人の「真の実力値」です。
  • \cdot (ドット): 掛け算(行列の積)です。

式が教えてくれること

この式を日本語に翻訳すると、こうなります。

「ネットワーク全体( A )を通して、みんなの影響力( \rho_\infty )を集計し直しても、結局その影響力( \rho_\infty )は変わらない」

これだけだと禅問答のようですが、もっと噛み砕くとこういう意味になります。

「あなたの影響力は、あなたを紹介してくれている人たちの影響力の合計で決まる」

つまり、単に「100人にフォローされている」ことよりも、 「影響力のあるすごい人1人にフォローされている」 方が、価値が高いとみなされるのです。

「誰に知られているか」という 質 こそが、影響力の本質だと言っているわけです。

3. エンジニアが知っておくべき専門用語

この概念は、ネットワーク分析やSEO(検索エンジン最適化)の世界で必須の知識です。

固有ベクトル(Eigenvector)

この式における \rho_\infty のことです。

ある変換(ここでは人間関係のネットワーク A )を通しても、向きが変わらない特別なベクトルのことを指します。

「周りがどうあろうと、揺るがないその人の芯(=真の人気)」のようなイメージで捉えてください。

再帰的定義(Recursive Definition)

「影響力のある人とは、影響力のある人から知られている人のことである」

これ、よく考えると堂々巡り(再帰)ですよね?

「じゃあ一番最初の影響力のある人は誰が決めるの?」となりそうですが、数学の力(行列計算)を使うと、この堂々巡りの計算をグルグル繰り返すことで、最終的にピタッと一つの答え( \rho_\infty )に収束させることができるのです。これをエンジニアリングで実装したのがGoogleのすごいところです。

4. この考え方を使うメリットとデメリット

メリット

「本質的な価値を見抜ける」 ことです。

エンジニアとしてサービスを作るとき、単に「いいね数」や「PV数」だけでランキングを作ると、不正なスパムや質の低いコンテンツが上位に来てしまうことがあります。

しかし、この「つながりの質」を重視する数式を取り入れれば、「信頼できるユーザーから評価されているコンテンツ」を正しく上位表示できるようになります。

デメリット

「『富める者はますます富む』仕組みになりやすい」 ことです。

このロジックでは、すでに有名な人とつながっている人が有利になります。

全く無名の新人が、実力だけで評価されるには時間がかかります。そのため、新規参入者が不利になり、コミュニティの新陳代謝が悪くなるという副作用も理解しておく必要があります。

5. 今後の学習の指針

これからWebサービスやSNS運用に関わるなら、ただ数を追うのはやめましょう。

「誰とつながるか」「どのコミュニティに属するか」という ネットワークの構造(トポロジー) を意識してください。

エンジニアとしても同じです。たくさんの言語を浅く知っているより、その業界の第一人者や、尊敬できるシニアエンジニアと深くつながり、質の高いフィードバックをもらう方が、あなたの技術力( \rho_\infty )を一気に高めてくれるはずです。

次回は、株価の予測や経済の動きなど、複雑で予測不可能な動きを捉える「⑥市場の数式」について解説します。

ランダムな動きの中に潜む法則を読み解いていきましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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