もし仕事中にケガをしたら?エンジニアを守る「休業補償給付」の基礎知識
こんにちは。ゆうせいです。
新人エンジニアのみなさん、毎日の業務には慣れてきましたか?コードを書くことに夢中になって、気づいたら肩がガチガチ、なんてこともあるかもしれませんね。
さて、今日は少しシリアスですが、絶対に知っておいてほしい「もしもの時のセーフティネット」についてお話しします。
通勤中に階段で転んで骨折してしまった。あるいは、長時間労働が原因で体調を崩して入院することになった。そんなとき、働けない間の生活費はどうなるのでしょうか?
「働いていないから給料はゼロ?」
「貯金を切り崩すしかないの?」
そんな不安を解消するのが、労災保険の「休業補償給付」です。名前は漢字ばかりで難しそうですが、要するに「仕事が原因で休んでいる間の給与保証」のことです。
自分を守るための大切な知識ですので、ぜひリラックスして聞いてください。
休業補償給付とは何か
まずは、この制度の全体像をイメージしましょう。
休業補償給付とは、業務中や通勤中のケガや病気が原因で働けなくなり、給料がもらえなくなったときに、国からお金が支給される仕組みです。
エンジニアの仕事に例えるなら、サーバーがダウンしてサービスが停止(あなたが働けない状態)している間に、損失補填としてクラウドベンダー(国)からクレジット(お金)が振り込まれるようなものです。
これにより、安心して治療に専念し、また現場に復帰することができるのです。
もらえる条件は3つ
この給付を受けるには、次の3つの条件をすべてクリアする必要があります。一つでも欠けると支給されませんので注意してください。
- 業務上の事由、または通勤による負傷や疾病であること
- 療養のために働くことができないこと
- 賃金(給料)を受け取っていないこと
特に1番目が重要です。仕事とは無関係なプライベートな旅行中のケガなどは対象外です(その場合は健康保険の傷病手当金になります)。
いくらもらえる?金額の計算方法
さて、一番気になるのは「いくらもらえるのか」ですよね。
結論から言うと、給料の「約8割」が補償されます。
「えっ、全額じゃないの?」と思いましたか?確かに数字だけ見ると減っているように見えますが、実はこれ、かなり手厚い金額なんです。なぜなら、この給付金には税金がかからないからです。手取り額で考えると、働いているときとほとんど変わらない水準になることが多いですよ。
専門用語解説:給付基礎日額
ここで計算に使う重要な用語を覚えましょう。「給付基礎日額」です。
これは、あなたの「1日あたりの稼ぐ力」を数値化したものです。基本的には、事故が発生した日の直前3ヶ月間に支払われた給与の総額を、その期間の日数で割って計算します。
直近3ヶ月の給与総額 その期間の暦日数 給付基礎日額
計算式
実際に受け取れる金額は、以下の2つの合算になります。
- 休業補償給付(基礎日額の60%)
- 休業特別支給金(基礎日額の20%)
これらを足し算すると、こうなります。
給付基礎日額 0.8 1日あたりの支給額
たとえば、給付基礎日額が1万円の人なら、1日休むごとに8,000円が非課税で振り込まれる計算です。
注意!「待期期間」という落とし穴
「よし、ケガをした初日から保険がおりるんだな!」
そう思った方、ちょっと待ってください。ここがテストに出るポイントです。実は、休業した最初の3日間は、労災保険からは1円も出ません。これを「待期期間」と呼びます。
システム障害が起きたとき、最初の数分間はアラートが鳴って状況確認をする時間がありますよね。それと同じで、最初の3日間は「様子見期間」として設定されているのです。
では、その3日間の生活費はどうなるのでしょうか?
- 業務災害(仕事中のケガ)の場合:会社が平均賃金の60%以上を補償する義務があります。
- 通勤災害(通勤中のケガ)の場合:会社の補償義務はありません(ただし会社の規定で出ることもあります)。
そして、実際に労災保険からお金が出始めるのは「休業4日目」からです。このタイムラグがあることは、必ず頭の片隅に入れておいてください。
メリットとデメリット
制度の良い面と悪い面を整理しておきましょう。
メリット
- 支給されるお金は非課税なので、所得税や住民税がかからない。
- 健康保険の「傷病手当金(給料の約3分の2)」よりも、支給率が高い(約8割)。
- 治療費自体も労災保険から出るため、原則として自己負担がゼロになる。
- ボーナス算定期間に含まれる場合、特別給与の補償も別途受けられる可能性がある。
デメリット
- 最初の3日間(待期期間)は支給されない。
- 申請手続きが複雑で、会社や病院の証明が必要になるため、入金までに時間がかかる(1ヶ月以上かかることもザラです)。
- 100%の給与補償ではないため、収入は多少減る。
今後の学習の指針
いかがでしたか?「休業補償給付」は、エンジニアのキャリアを長く続けるための命綱です。
特にみなさんはデスクワークが中心ですから、腰痛や腱鞘炎といった職業病のリスクもありますし、最近では長時間労働によるメンタルヘルスの不調も労災認定されるケースが増えています。
今回の内容で「お金の不安」を少しでも減らせたなら、次は「予防」に目を向けてみましょう。
- デスクワーク特有の健康被害を防ぐエルゴノミクス(人間工学)
- メンタルヘルスを守るための労働安全衛生法
これらを学ぶことで、そもそも「休業しない」ための防衛術を身につけることができます。
自分の身は自分で守る。これも立派なエンジニアのスキルセットの一つですよ。