「カイ二乗」って何語?不思議な名前の由来を3分で解説します
こんにちは。ゆうせいです。
統計学の教科書を開くと、突然現れる謎の言葉「カイ二乗検定」。
初めて聞いたとき、こう思いませんでしたか?
「カイってなに?貝?それとも海外の言葉?」
それに「二乗」までついていて、なんだか必殺技の名前みたいで強そうですよね。でも、名前の意味がわからないと、内容まで難しく感じてしまうものです。
そこで今回は、このちょっと変わった名前の由来について、歴史や数学の裏話を交えながら、わかりやすく紐解いていきます。
名前の秘密を知れば、あの難しそうな数式も少しだけ身近に感じるはずです。リラックスして読んでみてくださいね。
そもそも「カイ」ってなに?
まずは前半の「カイ」の部分から見ていきましょう。
結論から言うと、これはギリシャ文字の「 」のことです。
英語のアルファベットでいうと「 (エックス)」に近い存在ですが、数学の世界では区別して使われます。読み方は「カイ(Chi)」です。
なぜギリシャ文字を使うの?
数学者や統計学者は、数字や普通のアルファベット( や
)だけでは足りないときに、よくギリシャ文字を使います。
みなさんも高校の数学で「 (パイ)」や「
(シータ)」を見たことがありますよね?あれと同じ仲間です。
この検定を考案した統計学の父、カール・ピアソンというすごい学者が、
「この計算で出てくる値を表す文字として、ギリシャ文字の を使おう!」
と決めたのが始まりだと言われています。深い意味があるというよりは、「変数のシンボルとして選ばれたのがたまたま だった」と考えるのが自然です。
もし彼が を選んでいたら、「アルファ二乗検定」になっていたかもしれませんね。
なぜ「二乗」がついているの?
次は後半の「二乗」の部分です。ここには、統計学の重要な仕組みが隠されています。
前回の記事でも少し触れましたが、カイ二乗検定は「予想と結果のズレ」を調べるものです。
ここで大事なルールがありましたよね。
ズレを計算するときは、必ず2乗(掛け算)する
もし2乗しないとどうなるでしょうか?
「プラスのズレ」と「マイナスのズレ」が打ち消し合って、合計が になってしまうことがあるのです。
- プラスのズレ:
- マイナスのズレ:
- 単純に足すと:
(ズレてないことになってしまう!)
これでは困ります。そこで、数学の魔法「2乗」を使います。
こうすれば、どちらもプラスの数字になり、しっかりと「ズレの大きさ」を積み上げることができます。
つまり、「計算の過程で必ず値を2乗しているから」、名前に「二乗」がついているのです。
数式で書くと となります。
文字の「 」を「
(二乗)」している、まさにそのまんまの名前なんですね。
名前が表す「メリット」と「デメリット」
この「カイ二乗」という名前には、学ぶ人にとって良い点と悪い点があります。
メリット:中身を正確に表している
この名前を見れば、統計に詳しい人はすぐにピンときます。
「あ、これはカイ二乗分布( 分布)というカーブを使って判定するんだな」
「ズレを2乗して足し合わせた計算をするんだな」
というふうに、計算方法や使う道具が名前だけでわかるようになっています。プロにとっては非常に合理的でわかりやすいネーミングです。
デメリット:初心者にはハードルが高い
一方で、これから学ぶ人にとっては、「カイ」という聞き慣れない響きと、「二乗」という数学的な用語が組み合わさることで、
「なんだか難しそう……」
「高度な数学が必要なんじゃないか?」
という心理的な壁を作ってしまいます。実際は「ズレの足し算」をしているだけなのに、名前のせいで食わず嫌いされてしまうことが多いのが残念な点です。
まとめ
いかがでしたか?
「カイ二乗検定」という厳つい名前も、分解してみれば意外と単純な理由でしたね。
- 「カイ」は、ただのギリシャ文字の
。
- 「二乗」は、マイナスを消すために2乗計算をしているから。
- 合わせて
(カイの二乗)という変数を扱っているだけ。
「なんだ、ただの記号の名前だったのか」と思ってもらえれば、第一関門突破です!
名前の由来を知ると、無機質な数式にも少しだけ人間味を感じませんか?昔の学者が一生懸命考えた形跡だと思うと、親しみが湧いてくるかもしれません。
今後の学習の指針
名前の意味がわかったところで、次は「カイ二乗分布表」というものを見てみましょう。
「 の値がいくつ以上ならアウトなのか」が書かれた、審判のルールブックのような表です。
「この表の見方さえわかれば、検定はできたも同然」と言われるくらい重要なものです。ぜひ一度、ネットで検索して眺めてみてください。
統計の勉強は、言葉の意味を一つずつクリアにしていくことが近道です。焦らずゆっくり進んでいきましょう。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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