【超入門】「世界で一番大きな数は存在しない」を証明せよ!小学生でもわかる背理法

こんにちは。ゆうせいです。

数学の授業で「証明」と聞くと、なんだか難しくて眠くなってしまう……そんな経験はありませんか?

でも、今日ご紹介する「背理法(はいりほう)」は、まるで「いじわるなクイズ」や「探偵の推理」のような面白さがあるんです。

今回は、数ある数学の証明の中でも、「最もシンプルで、最も直感的にわかる例」をご紹介します。

これを読み終わる頃には、「なんだ、証明って意外と単純じゃん!」と思えるようになっているはずです。ぜひリラックスして読んでみてくださいね。


そもそも背理法ってなに?

難しい言葉は一旦置いておいて、イメージで捉えましょう。

背理法とは、「あえて嘘の仮定をして、話がおかしくなることを指摘する」という論法です。

例えば、あなたが友人のA君から「僕は昨日、一睡もせずに勉強していたよ!」と言われたとします。でも、A君はとても元気そうです。

そこであなたはこう考えます。

  1. (仮定) もしA君が本当に一睡もしていないなら……
  2. (検証) 今ごろ目の下にクマができて、授業中に船を漕いでいるはずだ。
  3. (矛盾) でも、今のA君は肌ツヤが良くて元気いっぱいだ。これはおかしい。
  4. (結論) だから、「一睡もしていない」というのは嘘だ!

これが背理法の考え方そのものです。

「もし〇〇だとしたら、変なことになるよね? だから〇〇じゃないんだよ」という攻め方ですね。


世界一シンプルな証明:「最大の数は存在しない」

では、いよいよ本題です。数学の世界で最もシンプルな背理法の例をご紹介しましょう。

それは、「自然数(1, 2, 3...)の中に、もっとも大きな数は存在しない」という証明です。

「そんなの当たり前じゃん! 数字は無限に続くでしょ?」

そう思ったあなた。大正解です。

でも、それを「数学的に証明しろ」と言われたらどうしますか? ここで背理法の出番です。

ステップ1:あえて逆を仮定する

まず、証明したいことの「逆」を正しいと仮定します。ここがポイントです。

「世界には、これ以上大きな数がない『最大の数』が存在する」

と仮定してみましょう。

そして、その最強の数字を M と名付けてみます。この M は、世界のどの数字よりも大きいはずですよね。

ステップ2:矛盾を見つける

さて、ここで意地悪な計算を一つだけします。

その「最大の数 M 」に、 1 を足してみてください。

M + 1

計算できましたね?

では、この M + 1 という新しい数字と、さっきの M を比べてみましょう。

当たり前ですが、 1 を足したぶんだけ、元の数より大きくなっていますよね。

M + 1 > M

おや? ちょっと待ってください。

私たちは最初にM こそが世界で一番大きな数だ」と決めましたよね?

それなのに、足し算を一つしただけで、 M よりも大きな数が生まれてしまいました。

「一番大きいって言ったのに、もっと大きい数があるじゃん!」

これは明らかに話が食い違っています。これが「矛盾」です。

ステップ3:結論を出す

なぜこんな矛盾が起きてしまったのでしょうか?

計算ミスでしょうか? いえ、 + 1 をしただけですから間違いようがありません。

原因はたった一つ。

最初のスタート地点である「最大の数 M が存在する」という仮定が間違っていたからです。

よって、結論はこうなります。

「最大の数なんてものは存在しない(数字は無限に続く)」

どうでしょう? まるで魔法のように証明が終わってしまいました!


この考え方のメリット・デメリット

このシンプルな証明からわかる、背理法の良し悪しを整理しておきましょう。

メリット:悪魔の証明ができる

「お化けがいないことを証明しろ」と言われると難しいですよね。世界中を探し回らないといけません。

でも背理法なら、「もしお化けがいるなら、〇〇という現象が起きるはずだ。でも起きていない。だからいない」という風に、「ないこと」を論理だけで証明できる強力な武器になります。

デメリット:正体はわからないまま

今回の証明で、「最大の数はない」ということは分かりました。

でも、「じゃあ具体的に数字はどうなっているの?」という正体までは教えてくれません。

背理法は「AじゃないならBだ」と消去法で決めるので、「で、結局なんなの?」という実感が湧きにくいという弱点もあります。


まとめと今後の学習指針

いかがでしたか?

「最大の数に1を足したら、もっと大きくなっちゃうじゃん」

たったこれだけのことで、数学的な証明ができてしまうなんて、ちょっと痛快ですよね。

背理法は、難しそうに見えて、実は「相手の矛盾を突く」というとても人間味のあるロジックなんです。

最後に、これからの学習の指針です。

この「 + 1 」のロジックを理解できたら、次はもう少しだけレベルアップして「素数が無限にあることの証明」(ユークリッドの証明)に挑戦してみてください。

今回と同じように、「素数が有限個しかないとしたら……」と仮定して、矛盾を導き出す美しい証明です。

パズルを解くような感覚で、数学の論理を楽しんでみてくださいね。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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