システム理論とは?新人エンジニアのためのやさしい入門ガイド
こんにちは。ゆうせいです。
今回は「システム理論(Systems Theory)」について、新人エンジニアの皆さんにもわかりやすく解説します。
複雑なものを整理して理解するためにとても役立つ考え方ですよ!
システム理論とは何か?
一言で言えば、
「全体は単なる部分の集まりではなく、相互に関係し合う要素から成る“仕組み”として理解しよう」という考え方です。
もう少し噛み砕くと、
「部分(部品)だけ見てもダメ。大事なのは、それぞれがどう関わり合っているか」という視点です。
日常の例で理解してみよう!
たとえば「自動車」は、以下のような多くの部品からできています。
- エンジン
- ハンドル
- タイヤ
- ブレーキ
- 電気系統
でも、タイヤだけを研究しても「車」の本質は見えてきません。
エンジンとタイヤがどう連携し、ドライバーの操作がどう全体に伝わるか。
この全体のつながりとバランスこそが「システム」なのです。
エンジニア視点で見るシステム理論
ソフトウェアでもシステムはたくさんある!
ソフトウェア開発においても「システム思考」がとても大切です。
たとえば、Webアプリケーションは以下のような構成を持ちます:
- フロントエンド(Reactなど)
- バックエンド(DjangoやExpressなど)
- データベース(MySQL、MongoDBなど)
- API連携
- 認証機構
これらをバラバラに開発するのではなく、「全体の連携・目的・流れ」を意識して設計・開発するのが、システム的な考え方です。
システム理論のキーワード
用語 | 意味 |
---|---|
要素(要因) | システムを構成する個々の部品や機能 |
相互作用 | 要素同士が影響し合う関係 |
境界 | システムの内側と外側を分けるもの(たとえば「インターフェース」) |
フィードバック | システム内の結果が、再び入力に影響を与えること(例:温度センサーの制御) |
自己組織化 | 外部からの指示がなくても、システムが秩序を保つ性質 |
全体性(ホーリズム) | 部分の単なる合計以上の「全体としての性質」があるという考え方 |
図で理解する:システムの基本構造
┌───────────────┐
│ 入力 Input │ ←─(ユーザー操作など)
└───────────────┘
│
▼
┌───────────────┐
│ システム本体 │(処理・変換・計算など)
└───────────────┘
│
▼
┌───────────────┐
│ 出力 Output │ →(表示・記録など)
└───────────────┘
▲
│
┌───────────────┐
│ フィードバック │(ログ監視・センサー補正など)
└───────────────┘
このような構成は、機械だけでなく、生態系、会社、チーム、ソフトウェアにも当てはまります!
例:気温自動調整システムで考えてみよう
要素:
- 温度センサー(入力)
- マイコン制御(処理)
- エアコン(出力)
フィードバック:
部屋の温度が高すぎたら冷房が働き、低くなったら停止。
このように「結果を見て動作を調整する仕組み」がフィードバックループです。
システム理論のメリット・デメリット
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 全体を俯瞰できる。複雑な問題を整理して、要因間のつながりを発見できる |
デメリット | 要素間の関係をすべて洗い出すのが難しく、分析や設計に時間がかかることもある |
数式でも表現してみよう!
システムの動作は、次のようにモデル化できます: 出力=f(入力,状態)出力 = f(入力, 状態)
(しゅつりょく = にゅうりょく と じょうたい の かんすう)
ここで「状態(state)」とは、前の出力や内部パラメータのこと。
これがあることで、「時間的なつながり」も表現できます。
現代のシステム理論的アプローチ
- ソフトウェアアーキテクチャ(例:マイクロサービスアーキテクチャ)
- オブザーバビリティ(ログやメトリクスで全体の状態を監視)
- カオスエンジニアリング(システムの弱点を意図的に壊して見つける)
- サイバネティクス(制御理論):システムの制御とフィードバックを研究
まとめ:システム理論は“全体を見る力”を養う考え方
新人エンジニアとして、部品(コードや機能)にばかり注目しがちですが、
「そのコードが全体の中でどう機能しているか」を意識することが成長の鍵です。
システム理論はその視点を養ってくれる思考のツールボックスになります。
今後の学習の指針
次のようなテーマを学んでいくと、システム理論の理解がより深まります:
- カオス理論・複雑系:予測不能なシステムのふるまい
- システム思考(Systems Thinking):問題の全体像を捉えて解決する方法論
- サイバネティクス:フィードバックと制御の数理モデル
- DevOpsと監視システム:運用の中でのフィードバックの実践
興味があれば、それぞれ詳しく掘り下げて解説しますよ。どれからいきましょう?
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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