【やさしく解説】新人エンジニアのためのマルクス主義入門:コードを書くように社会を見る
こんにちは。ゆうせいです。
今回は少し異色のテーマ「マルクス主義とは何か」について、新人エンジニアの皆さん向けにわかりやすく解説していきます。
「社会思想ってエンジニアと関係あるの?」と思ったかもしれません。でも安心してください。実はマルクス主義の考え方は、システムやコードの構造を見る目とすごく似ているんです。
マルクス主義とは?一言でいうと…
社会のしくみ(構造)を「経済」と「労働」を軸に分析する考え方です。
もっと具体的に言うと、
「世の中の動きは、誰がどんな仕事をして、どのように利益が得られているか、という仕組みによって決まっている」
という見方をするのがマルクス主義です。
登場人物:マルクスとエンゲルス
この思想を生み出したのは、19世紀のドイツの思想家 カール・マルクス と フリードリヒ・エンゲルス。彼らは、産業革命で変わりゆく社会を観察し、「このままでは一部の人だけが得をする社会になってしまう」と警鐘を鳴らしました。
エンジニアに身近な例で理解する:ソフトウェア開発チームにたとえると…
想像してみてください。あるソフトウェア企業に、以下のようなチームがあるとします。
職種 | 仕事内容 | 収入 |
---|---|---|
開発エンジニア | コードを書く | 月30万円 |
プロジェクトマネージャー | 指示を出す・管理をする | 月50万円 |
投資家 | お金を出して経営に関与 | 配当で月100万円 |
このとき、マルクス主義の視点で見ると:
- 実際に「価値(=製品やサービス)」を生み出しているのは労働者(エンジニア)
- でも大きな利益を得ているのは労働していない投資家
こうした構造を「搾取(さくしゅ)」と呼びます。
キーワードで理解しよう!
1. 生産手段(means of production)
工場、機械、プログラム、サーバーなど、「モノを作るために必要なモノ」。
- ソフトウェア業界なら「GitHubのリポジトリ」や「CI/CDパイプライン」が該当します。
2. 労働力(labour power)
人間が働く力のこと。つまり、みなさんエンジニアの能力です。
3. 階級(class)
経済的な立場によって分かれる集団。マルクスは大きく2つに分けました。
階級名 | 所属の条件 | 現代の例 |
---|---|---|
資本家階級(ブルジョワ) | 生産手段を持っている人 | 経営者、投資家、株主など |
労働者階級(プロレタリア) | 労働力を売って生活するしかない人 | サラリーマン、エンジニア、販売員など |
ここがポイント!「価値は労働から生まれる」
マルクスは、価値の源は労働にあると考えました。
つまり、プログラムを書く、設計する、テストする…といった人の作業こそが、最終的にサービスや製品の価値になるという考えです。
数式で表すと:
価値=労働時間×労働の種類価値 = 労働時間 \times 労働の種類
(かち = ろうどうじかん かける ろうどうのしゅるい)
搾取ってどういうこと?
「労働者が働いて生み出した価値」がすべて自分に返ってくるなら問題はありません。でも実際はそうではなく、一部が資本家に取られます。
図で見る搾取の構造:
[エンジニア] → 価値を生み出す → [会社]
↓
利益の一部 → [投資家]
この「労働者が生み出した価値の一部を資本家が得る」という構造が、マルクスのいう「資本主義社会の矛盾」です。
マルクス主義のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
社会の裏側の構造を論理的に理解できる | あまりに経済中心で、個人の感情や文化を無視しがち |
貧富の格差に対して鋭い問題提起ができる | 実際に社会を変えるのは非常に難しい |
「なぜ自分の給料はこれだけなのか?」が見える | 革命的な考えを持つと過激な運動になりがち |
「じゃあどうすればいいの?」という発想へ
マルクス主義は単なる分析にとどまりません。彼らの主張はこうです:
- 労働者が団結して
- 資本の支配から解放され
- より平等な社会をつくるべき
この考えが「社会主義(socialism)」や「共産主義(communism)」へとつながっていきます。
まとめ:エンジニアこそマルクス主義的な視点が必要?
あなたがどれだけ良いコードを書いても、「それが誰の利益になっているのか?」を考えたことはありますか?
たとえば:
- OSSに貢献したコードが、企業のプロダクトに無断利用されている
- 成果を出しても給与が変わらない
- プロジェクトが炎上しても責任は現場だけが取る
こうした現象の背景には、「搾取の構造」が潜んでいるかもしれません。
今後の学習の道しるべ
マルクス主義に興味が湧いたら、以下のステップで学んでいくのがおすすめです。
- 『共産党宣言』(読みやすい短編で思想の入口)
- 『資本論』の入門書(マンガ版や要約書が豊富)
- 現代の労働論(ブラック企業やギグワークなど)
- ポスト・マルクス主義(マルクスの限界を乗り越える視点)
もっと知りたいトピックや、グラフや図解で見たいことがあれば、いつでも聞いてくださいね!
次は「ポスト・マルクス主義」や「テクノロジーと資本主義の関係」なども面白いですよ。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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