心理的リアクタンスとリーダーシップの深い関係

心理的リアクタンスとは

心理的リアクタンスは、自分の自由が奪われそうだと感じたときに生まれる反発の心の動きです。やりなさいと言われるほど、逆にやりたくなくなってしまう、あの不思議な現象です。
人だけでなく、動物にも見られる反応と言われています。
例えば、うちの猫のハピちゃんは、自分がやりたいことを止められると「どうして止めるの!」と言わんばかりに怒り、時には噛みついたり引っかいたりします。まるで「自由を返してよ!」と全身で訴えているようで、リアクタンスそのものです。近いようで遠い、でもよく似ている。人の心も、にゃんこの心も、自由を守ろうとする点では同じなのかもしれません。

心理的リアクタンスが職場で起こると

この心理的リアクタンスは、職場のコミュニケーションにも強く影響します。

「どうして指示したのに動いてくれないんだろう」
「説明しただけなのに、なぜか反発された…」

そんな瞬間があるなら、決して能力不足や反抗心の問題ではなく、自由を奪われたと感じた心が反応している可能性があります。

強い口調での指示や、一方的な命令形のコミュニケーションは、部下に「選ぶ余地がない」と感じさせます。すると、やる気は目に見えない形でしぼみます。

この流れは、ハピちゃんがドアを閉めた瞬間に「開けてーー!」と大騒ぎするのと同じ構造です。

自由が制限されたと感じる
→ 心が反発する
→ 行動が重くなる

職場で見られる抵抗感も、この流れで説明できます。

傾聴と尊重がやる気と成長をつくる理由

心理的リアクタンスを減らして部下のやる気を引き出したい場合、最も効果的なのが「傾聴」と「尊重」です。
傾聴は自由を守るコミュニケーション
部下の意見を丁寧に聴くことは、「あなたの考えを大切にしているよ」というメッセージになります。このメッセージが、自由を奪われた感覚をやわらげ、反発心を大きく減らします。

これは、ハピちゃんに「今日はどうしたいの?」と気持ちを受け止めてあげるのと似ています。もちろん、猫の場合は機嫌が悪いと噛みつかれることもありますが…笑。

自分で選んだ仕事は火力が違う

心理学では、やる気を生み出す重要な要素として「自己決定」があります。自分で選んだと感じるほど、やる気と成長スピードが高まるのです。やる気の強さを簡単な式にすると

やる気の強さ = 自主性 × 貢献感
自分で選んだ感覚 × 役に立てている実感

どちらかが欠けると、やる気は弱まります。
「やらされている」と感じる瞬間、リアクタンスが生まれ、行動は重くなります。

説明より共創というアプローチ

「こうしなさい」より
「どう思う?」「どんなやり方が良さそう?」
と一緒に考える関わり方は、リアクタンスを起こしません。これは、ハピちゃんに「降りて!」と命令するより「こっちの方が暖かいよ」と誘うほうがスムーズに動く瞬間と似ています。(もちろん猫は気まぐれですが、その可愛らしさも魅力です。)

リーダーが意識すると成果が伸びるポイント

ポイント1 否定から入らない

「違うよ」ではなく
「その考えもあるね。詳しく聞かせて?」
という関わり方にすると、反発が大幅に減ります。

ポイント2 選択肢を提示する

A案かB案か、自分で選べる余地を作ることで主体性が育ちます。

ポイント3 小さな成功体験を積ませる

自分で選んだ方法でうまくいった経験は、部下の成長を加速させます。猫のハピちゃんが棚にジャンプできたとき、誇らしそうな顔をする姿と同じように、人も成功すると自信が湧き、次へのやる気が生まれます。

リーダーと部下の関係は育つもの

猫のハピちゃんが「ダメ!」と言われると怒るように、人も自由を奪われるとリアクタンスが起こります。しかし、気持ちに寄り添いながら関わると、心はゆっくりと開いていきます。
これは人も猫も同じです。

部下の成長意欲が湧くときは尊重され話を聴いてもらい自由を認められたときです。

リーダーの役割は、自由を奪うことではなく、自由をうまく使わせてあげること。
この関わり方ができるチームは、しなやかで強く、魅力的な組織へ育っていきます。

今後の学習の指針

リアクタンスが起きそうな場面を観察する
部下の「やりたいこと」を聴く時間を作る
禁止ではなく、選択肢や問いかけを増やす
ハピちゃん式の自由尊重コミュニケーションを取り入れてみる心の仕組みを理解すると、リーダーシップが優しく、あたたかく、支え合うものへ変化していきます。

最後にすべてを網羅するまとめ

心理的リアクタンスとは、自由を守るために生まれる反発反応。
強い指示によって部下のやる気が下がるのは、この心の仕組みが影響している。
傾聴・尊重・選択肢の提示は、リアクタンスを弱め、主体性と成長意欲を育てる。
自由を大切にする存在は、猫のハピちゃんのように大きな成長力を秘めている。
心理学を取り入れることで、チームもリーダーも、もっとのびのび成長できる組織へと変わる。


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投稿者プロフィール

田渕講師
田渕講師
セイ・コンサルティング・グループ株式会社専務取締役
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー
アンガーマネジメントファシリテーター、コンサルタント
ハッピーな人生を送る秘訣は「何事も楽しむ!」ことにあり。
一期一会を大切に、そして楽しく笑顔になる研修をミッションに!