生成AIとAIエージェントで資料作成はどう変わる?人間に残る3つの役割

「会議の資料を作らなくちゃ……」

「研修用のPowerPoint、まだ半分もできていない!」

「内容は決まっているのに、見やすくまとめるのが難しい……」

そんな経験はありませんか?

資料作成という仕事は、意外と時間がかかりますよね。

情報を集め、文章を考え、表やグラフを作り、レイアウトを整える。ようやく完成したと思ったら、「もう少しわかりやすくして」と修正依頼が入ることも。

ところが最近、生成AIの進化によって、資料作成の進め方が大きく変わり始めています。

さらに注目されているのが「AIエージェント」です。

生成AIが文章や資料を作るだけでなく、AIエージェントは、与えられた目標に向かって複数の作業を計画し、必要なツールを使いながら進めることができます。

「それなら、資料作成は全部AIに任せられるのでは?」

そう思われるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください!

AIが便利になるほど、人間に求められる役割も、より明確になってくるのです。

今回は、生成AIとAIエージェントの違いを入り口に、資料作成の未来と、人間に残る3つの大切な役割について、一緒に考えてみましょう。

1.生成AIで資料作成はここまで変わった!

少し前まで、生成AIを資料作成に使うといえば、文章の下書きを考えてもらうことが中心でした。

例えば、

「新入社員向けに、コミュニケーションの重要性を説明する文章を作ってください」

と入力すると、AIが文章を提案してくれます。

人間は、その文章をPowerPointに貼り付け、見出しを付けたり、文字の大きさを調整したりしていました。

ところが現在は、資料編集機能も進化しています。

対応するAIサービスでは、既存のWordやPowerPointなどのファイルを読み込み、文章の修正、構成の見直し、表の整理、スライドの作成などを支援できます。

例えば、

「この研修資料を、新入社員にも理解できるように修正してください。専門用語には説明を加え、具体例と確認クイズも入れてください」

と依頼すれば、資料の改善案を考えてくれます。

利用するサービスやプランによっては、編集可能なファイルとして出力することもできます。

つまり、資料作成は「人間がゼロから全部作る仕事」から「AIと一緒に作り上げる仕事」へと変わり始めているのです。

2.さらに進化!AIエージェントとは?

ここで登場するのが「AIエージェント」です。

AIエージェントとは、人間が与えた目標に向かって、必要な作業を考え、複数の手順を実行する仕組みです。

通常の生成AIと何が違うのでしょうか?

例えば、旅行の計画を考えてみましょう。

生成AIに、

「北海道旅行のおすすめプランを考えてください」

と依頼すると、観光地や日程の候補を提案してくれます。

一方、旅行予約に対応したAIエージェントなら、条件に合うホテルや交通手段を調べ、候補を比較し、予約画面への入力などを進めることも可能です。

ただし、実際にどこまで実行できるかは、利用するAIエージェントの機能や権限によって異なります。

資料作成でも、同じような違いがあります。

比較項目生成AIAIエージェント
主な役割指示に応じて文章や資料を生成する目標に向かって複数の作業を進める
作業の進め方人間が段階ごとに指示することが多い作業手順を計画し、連続して実行できる
資料作成の例スライドの構成案を作る情報収集から資料作成、確認まで進める
ツールの利用対応する機能を利用する複数のツールを組み合わせて利用できる
人間の役割指示・修正・確認目標設定・権限管理・重要な判断・最終承認

例えば、AIエージェントに次のような目標を与えたとしましょう。

「来月実施する新人研修の説明資料を作成してください。対象者はIT未経験者で、研修時間は60分です」

必要な機能や情報へのアクセスが許可されていれば、AIエージェントは次のような作業を進められます。

① 研修テーマに関する情報を収集する

② 対象者に合わせた構成を考える

③ 各スライドの説明文を作成する

④ 具体例や確認クイズを追加する

⑤ PowerPointなどの資料を作成する

⑥ 内容や体裁をチェックし、修正案を提示する

まるで、資料作成を手伝ってくれるアシスタントのようですね!

ただし、AIエージェントがすべての作業を自動で実行できるわけではありません。

外部サービスへの接続やファイル操作には、対応するツールと適切な権限が必要です。また、AIが自分で確認した結果も、必ずしも正しいとは限りません。

AIエージェントに任せる範囲を決め、重要な場面では人間が確認することが大切です。

3.AIエージェントが登場すると、資料作成の仕事はどう変わる?

例えば、これまで研修資料を作る際には、講師が次のような作業を行っていました。

情報収集 → 構成作成 → 文章作成 → スライド作成 → 修正 → 完成

生成AIを活用すると、それぞれの工程でAIに手伝ってもらえます。

さらにAIエージェントを活用すれば、対応する環境では複数の工程をまとめて進められるようになります。

人間は、最初に目的や条件を伝え、途中で必要な判断を行い、最後に成果物を確認する。

そんな仕事の進め方が可能になってきました。

しかし、ここで大切な問いがあります。

「AIが作った資料は、本当に受講者に伝わる資料になっているでしょうか?」

例えば、AIが専門用語をたくさん使った美しいスライドを作ったとしても、受講者が理解できなければ、研修資料としては十分ではありません。

AIが資料を完成させることと、研修の目的を達成することは、同じではないのです。

そこで重要になるのが、人間に残る3つの役割です。

4.人間に残る役割①「構成」――何を、どの順番で伝えるか

最初の役割は、構成を考えることです。

構成とは、伝えたい内容を、相手が理解しやすい順番に組み立てること。

料理に例えるなら、献立を考える仕事に似ています。

冷蔵庫に食材がたくさんあっても、すべてを一度に鍋に入れれば、おいしい料理になるとは限りませんよね。

資料作成も同じです。

情報が多ければ良い資料になるわけではありません。

例えば、生成AIの初心者向け研修を実施するとしましょう。

いきなり「大規模言語モデル」や「Transformer」という専門用語から説明を始めたら、受講者は戸惑ってしまうかもしれません。

「ちょっと待って! まだ生成AIを使ったこともないんですけど……」

そんな声が聞こえてきそうです(笑)。

私なら、まず身近な業務の話から始めます。

「毎日、メールの文章を考えるのに何分くらいかかっていますか?」

「会議の議事録をまとめるのは大変ではありませんか?」

受講者が共感できる場面から入り、実際にAIを体験してもらい、その後に仕組みや注意点を説明する。

そうすることで、学ぶ意味を感じながら理解を深められます。

AIも構成案を提案できます。しかし、受講者の経験や研修の目的を踏まえて、最終的な構成を決めるのは人間の役割です。

5.人間に残る役割②「判断」――何を採用し、何を削るか

2つ目は、判断することです。

生成AIやAIエージェントは、さまざまなアイデアを提案してくれます。

例えば、

「コミュニケーション研修で盛り上がるグループワークを5つ考えてください」

と依頼すれば、複数の演習案が出てくるでしょう。

どれも面白そう!

でも、ここで考えたいことがあります。

「この演習は、本当に今回の受講者に合っているだろうか?」

新入社員向けなのか、管理職向けなのか。

参加人数は2人なのか、20人なのか。

研修時間は30分なのか、3時間なのか。

同じ演習でも、条件によって効果は変わります。

例えば、20人で盛り上がるゲームが、2人では十分に機能しないこともあります。

AIが10個の演習案を作ってくれたとしても、10個すべてを実施する必要はありません。

大切なのは、研修の目的に合ったものを選ぶことです。

AIが選択肢を広げ、人間が目的に照らして選択する。

AIエージェントが作業を自動化する時代だからこそ、何を任せ、何を任せないかを判断する力も重要になります。

6.人間に残る役割③「品質確認」――正しいだけでなく、伝わるか

3つ目は、品質確認です。

ここが、実はとても重要です!

生成AIは、もっともらしい文章を作ることが得意です。

しかし、AIの回答には誤りが含まれることがあります。

例えば、実在しない統計データを示したり、古い制度を最新の情報として説明したり、引用元を間違えたりする可能性があります。

こうした、AIが事実と異なる情報をもっともらしく生成する現象を「ハルシネーション」と呼びます。

英語で「幻覚」を意味する言葉です。

「そんなに自信満々に言われたら、信じてしまいますよね……」

AIエージェントの場合は、さらに注意が必要です。

誤った情報をもとに資料を作成し、そのまま次の作業へ進んでしまう可能性もあるからです。

例えば、間違った売上データを使ってグラフを作成し、そのグラフをもとに営業戦略まで提案してしまったらどうでしょうか。

見た目は立派でも、判断の根拠が間違っている資料になってしまいます。

だからこそ、資料の品質確認が欠かせません。

確認する観点チェックする内容
正確性数字、事実、専門用語、出典は正しいか
わかりやすさ読み手に合った言葉や説明になっているか
一貫性前後の説明に矛盾がないか
見やすさ文字量、図表、レイアウトは適切か
安全性個人情報や機密情報を適切に扱っているか

AIエージェントが自動で品質チェックを行う機能もありますが、重要な資料では人間による最終確認が必要です。

特に、社外に提出する提案書や、研修で配布する教材などは、内容の正確性だけでなく、相手に伝わるかどうかも確認したいですね。

7.にゃんこに教わる「AIエージェントとの上手な付き合い方」

さて、ここで恒例のにゃんこエピソードです! (=^・^=)

ある日、にゃんこの写真を整理していたときのこと。

窓辺でくつろぐにゃんこ。

丸くなって眠るにゃんこ。

こちらをじっと見つめるにゃんこ。

どれもかわいくて、なかなか選べません。

「全部かわいいから、全部残したい!」

……親バカですね(笑)。

もし生成AIに写真の整理をお願いしたら、写真の特徴を分析し、似た写真を分類してくれるかもしれません。

さらに、写真整理に対応したAIエージェントなら、

「今年のにゃんこの写真から、思い出アルバムを作ってください」

という目標に向かって、写真の選別、分類、アルバムの構成、レイアウトまで進めてくれるかもしれません。

便利ですよね!

でも、ここで問題です。

少しピンぼけしているけれど、初めて膝の上に乗ってくれた瞬間の写真。

AIは、写真の鮮明さを基準に、その写真を候補から外してしまうかもしれません。

「いやいや! その写真こそ、一番大切なんです!」

思わず突っ込みたくなります(笑)。

AIは画像の特徴を分析できますが、その写真に込められた思い出や感情を、飼い主と同じように理解できるとは限りません。

資料作成も同じです。

AIは情報を整理し、見栄えを整えることができます。

AIエージェントは、さらに複数の作業をまとめて進められます。

しかし、「この話を聞いた人に、どんな気持ちになってほしいか」「何を持ち帰ってほしいか」という思いは、人間が持つものです。

AIに作業を手伝ってもらいながら、人間が意味や価値を与える。

にゃんこの写真整理からも、そんな大切なことを学べる気がします。

8.生成AI研修では「作る・任せる・確認する」を体験しよう!

これからの生成AI研修では、AIに資料を作らせるだけで終わらないことが大切だと考えています。

例えば、次のような演習はいかがでしょうか。

【STEP1:生成AIに資料を作ってもらう】

「新入社員向けに、報告・連絡・相談の重要性を説明する5枚のスライド構成を考えてください」

まずは生成AIに構成案を作ってもらいます。

【STEP2:AIに改善を依頼する】

「専門用語を減らし、新入社員が経験しそうな場面を追加してください。最後に理解度確認クイズを1問入れてください」

AIと対話しながら、資料を改善します。

【STEP3:AIエージェントに複数の作業を任せる】

AIエージェントが利用できる環境では、資料作成の一連の作業を任せる体験をします。

例えば、

「研修資料の構成を考え、説明文と確認クイズを作成し、スライドとしてまとめてください」

と依頼します。

実際にどこまで自動化できるかは、利用するサービスの機能や権限によって異なります。

【STEP4:人間が品質確認する】

完成した資料を見て、次の点を確認します。

・新入社員にとってわかりやすいか?

・説明の順番は適切か?

・内容に誤りはないか?

・実務に役立つ具体例があるか?

【STEP5:グループで改善案を共有する】

最後に、完成した資料を見せ合い、良かった点や改善点を話し合います。

この演習では、生成AIの操作方法だけでなく、AIエージェントへの仕事の任せ方や、AIの成果物を評価する力も学べます。

AIの回答を受け取るだけなら、比較的簡単です。

しかし、AIの成果物を見て、

「ここは良いですね」

「この部分は少し違いますね」

「もっとこうした方が伝わりそうです」

と改善できるようになれば、生成AIを仕事に活用する力が一段と高まります。

9.AI時代に求められるのは「作業する力」だけではない

ここまで考えてくると、資料作成に必要な能力も変わってくることがわかります。

これまでは、PowerPointの操作が速いことや、文章を上手にまとめることが重要でした。

もちろん、今後もそうしたスキルは役立ちます。

しかし、生成AIやAIエージェントを活用する時代には、それだけでは十分ではありません。

「何のために資料を作るのか?」

「誰に何を伝えたいのか?」

「AIにどこまで任せるのか?」

「完成した資料は本当に使えるのか?」

こうした問いに答えられる力が、ますます重要になります。

つまり、人間の仕事は、単純な作業から、目的を考え、判断し、価値を生み出す仕事へと比重が移っていくのではないでしょうか。

AIに仕事を任せるということは、人間が何もしなくなるという意味ではありません。

むしろ、より良い成果を生み出すために、人間が考えるべきことが明確になるのです。

10.まとめ:AIに作業を任せ、人間は価値を生み出す

生成AIの進化によって、資料作成の仕事は大きく変わり始めています。

文章の下書き、要約、情報整理、表の作成、構成案の提案、資料編集の支援など、AIに任せられる作業は増えています。

さらにAIエージェントは、目標に向かって複数の作業を計画し、実行することができます。

しかし、AIがどれほど進化しても、人間にとって大切な3つの役割があります。

① 構成する力

誰に、何を、どの順番で伝えるかを考えること。

② 判断する力

AIの提案から目的に合った情報を選び、AIに任せる範囲を決めること。

③ 品質確認する力

内容の正確性、わかりやすさ、安全性、伝わりやすさを確認すること。

AIエージェントが作業を自動化できるようになっても、人間の役割がなくなるわけではありません。

むしろ、何を実現したいのかを考える力が、これまで以上に重要になります。

これから生成AIを学ぶ方には、ぜひ「AIに作らせる」だけでなく、「AIと一緒に改善する」「AIに仕事を任せる範囲を考える」という体験をしていただきたいと思います。

まずは、普段使っている資料を一つ選び、生成AIに改善案を考えてもらってはいかがでしょうか。

そして、AIエージェントを利用できる環境があれば、資料作成の一連の作業をどこまで任せられるか、試してみるのもよいでしょう。

大切なのは、AIにすべてを丸投げすることではありません。

AIの得意なことを理解し、人間が担うべき仕事を見極めることです。

資料を作る目的は、きれいなスライドを完成させることではありません。

その先にいる人に、何かを伝え、理解してもらい、行動につなげてもらうことです。

生成AIやAIエージェントは、その目的を実現するための心強いパートナーになってくれるでしょう。

私も、にゃんこの写真を選ぶときのように、最後は自分の目と心で確かめながら、AIと上手に付き合っていきたいと思います! (=^・^=)




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投稿者プロフィール

田渕講師
田渕講師
セイ・コンサルティング・グループ株式会社専務取締役
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー
アンガーマネジメントファシリテーター、コンサルタント
ハッピーな人生を送る秘訣は「何事も楽しむ!」ことにあり。
一期一会を大切に、そして楽しく笑顔になる研修をミッションに!