透明性 × サーバント × 解決志向。これからの組織に必須のリーダーシップ戦略

現代のリーダーシップは「圧力」ではなく「透明性」で動く

法令遵守が求められる現場では、昔ながらの「厳しい管理」が期待されがちです。ただ、今必要とされているのは、メンバーを力で押さえつけるような圧力ではありません。現代のリーダーシップは、安心して動ける“透明性”をつくることへシフトしています。

新しい厳しさは「基準と理由を明確にすること」

規則がある以上、守るラインは存在します。しかし、そのラインを伝える方法が重要です。 「これは守ってね!」ではなく、

・どんな理由で必要なのか ・どこがリスクになるのか ・どのラインを越えると危ないのか

といった背景を丁寧に共有することで、メンバーの判断力が高まり、自発的な行動が生まれます。まるで、迷路の入口だけ渡すのではなく、上から見た地図ごと手渡すような感覚です。

圧力と透明性の違い(比較表)

圧力で動く組織透明性で動く組織
短期は動くが疲れやすい長期にわたって安定して動く
自発性が育ちにくい主体的な判断が増える
相談しづらい空気が生まれる早期相談が増え、トラブル予防になる

ちなみに、うちの猫さんは棚に乗りたがるのですが、「ダメっ!」と強く止めるとスネてしまいます。でも「ここは落ちると危ないから別の場所を使おうね」と理由を伝えると、なぜか理解したように場所を変えてくれるんです。 …いや、我が家の猫が賢すぎるだけかな?(と小さく自分ツッコミ)


選択肢を与えるのではなく、一緒に探すリーダーシップへ

GROWモデルなどのコーチング手法では「選択肢」をどう扱うかが大きなポイントになります。現代のリーダーシップでは、最適解をリーダーが渡す必要はありません。むしろ、与えすぎると相手の思考の幅が狭まり、自立が失われてしまいます。

リーダーは「答えを見つける環境」をつくる役割

大切なのは、メンバー自身が可能性に気づくための問いを投げかけること。

・他にどんな方法がありそう? ・もし制約がなかったらどうする? ・一歩だけ前に進むとしたら、何を選ぶ? ・同じ状況で他の人ならどう動くと思う?

こうした問いは思考の視野を広げ、答えを“発見する力”を引き出してくれます。 リーダーは「地図を渡す人」ではなく、「一緒に歩きながら景色を見せる人」に変わりつつあるのです。


サーバント型が支持される理由は「持続する推進力」

支配型リーダーシップは短期的には高い推進力を持ちますが、疲弊しやすく長続きしにくい傾向があります。一方、サーバント型は立ち上がりこそゆっくりでも、チーム全体が“持続して動き続ける力”を育てます。

現代に求められるのは「ハイブリッド型」

基本はサーバント型でチームの土台を整えながら、 “決めるべき時だけ支配型の決断力を発揮する”。 この切り替えが、現代の複雑な環境には最も合っています。

例えるなら、普段はやさしいドライバーだけど、合流の一瞬だけキリッと判断を速くするようなイメージ。メリハリがあるほど、チームの安心感も高まります。


「なぜなぜ分析」は悪くない。ただし使いどころがカギ

様々な企業で使われる「なぜなぜ分析」は、原因を追究するうえで非常に強力な手法です。もともとは製造業の現場で、構造化できる「物やプロセス」の原因を特定するために生まれた技術であり、“物の問題”や“工程・仕組みの問題”に対しては最強ともいえるほど大きな効果を発揮します。

一方で、人の気持ちやコミュニケーションが絡む場面では、少し注意が必要です。「なぜ?」を繰り返す構造は、どうしても過去と原因ばかりに焦点が向きやすく、相手によっては“責められているように感じる”ことがあるためです。

ここで誤解してほしくないのは、なぜなぜ分析そのものが悪いわけではないということです。あくまで対象によっては別のアプローチのほうが力を発揮しやすいというだけなのです。

そんな場面では「解決志向の会話」がプラスに働く

メンバーの行動や気持ちがテーマになる場面では、未来・強み・例外に目を向ける“解決志向”の質問がとても効果的です。 過去を掘り下げるのではなく、これからどう動くかに視点が移ることで、対話がぐっと前向きになります。

例えば、こんな問いかけです。

  • どうすれば前に進めそう?
  • 今できている部分はどこ?
  • 例外的にうまくいった時はどんな状態だった?
  • 小さく改善できるところは?

なぜなぜ分析が「原因を探す道具」だとすれば、解決志向の会話は「未来をつくる道具」。 状況に応じて手法を使い分けることで、人に関わるコミュニケーションが軽やかになり、チーム全体の雰囲気もより前向きに変わっていきます。

ちなみに、うちの猫さんもティッシュを全部引き抜いた時に「なんでこんなことしたの!」と叱るとしょんぼり。でも「どうすれば楽しく遊べるかな?」とおもちゃに誘導すると一気に機嫌が直るんです。未来に向けた声かけは、人間にも動物にも効くみたいですね。


まとめ

現代のリーダーシップは大きく変化しています。

・圧力ではなく透明性 ・正解を渡すのではなく一緒に探す ・短期ではなく持続する推進力 ・原因追及だけでなく未来をつくる会話

これらが組み合わさることで、強く優しく、長く走り続けるチームが生まれます。


今後の学習の指針

・基準と理由を言語化する練習をする ・未来志向の問いかけを日常に取り入れる ・サーバントと支配の切り替えポイントを決めておく ・状況に応じた「なぜなぜ」と「解決志向」の使い分けを身につける

これらを少しずつ続けることで、優しくて強いリーダーシップが育っていきます。 無理なく、しなやかに、一歩ずつ磨いていきましょう。


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投稿者プロフィール

田渕講師
田渕講師
セイ・コンサルティング・グループ株式会社専務取締役
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー
アンガーマネジメントファシリテーター、コンサルタント
ハッピーな人生を送る秘訣は「何事も楽しむ!」ことにあり。
一期一会を大切に、そして楽しく笑顔になる研修をミッションに!