Windowsサポート終了の危険性とは?新人エンジニアが知るべきセキュリティリスクを徹底解説
こんにちは。ゆうせいです。
いつも使っているパソコンのOS(オペレーティングシステム)、何気なく使い続けていませんか?特にWindows 7やWindows 10は、長年多くの人に愛用されてきた素晴らしいOSですよね。使い慣れていると、なかなか新しいものに変えるのは億劫に感じるかもしれません。
しかし、エンジニアとしての一歩を踏み出したあなたにこそ、知っておいてほしい「隠れたリスク」があるのです。今回は、古いWindowsを使い続けることの危険性について、一緒に学んでいきましょう。なぜOSのアップデートはそんなに重要なのでしょうか?
まず初めに、「OS」ってなんだっけ?
この話を進める前に、基本の「キ」であるOSについておさらいしておきましょう!
OS、つまりオペレーティングシステムは、パソコンのすべての活動を管理している、いわば「現場監督」のような存在です。あなたがマウスを動かしたり、キーボードで文字を打ったり、ソフトウェアを起動したりするとき、その指示を受け取って、CPUやメモリといったハードウェアに「こう動いてください」と命令を出しているのがOSの役割なのです。
この現場監督がしっかりしていないと、パソコンという現場はたちまち大混乱に陥ってしまいます。だからこそ、OSは非常に重要なソフトウェアなんですね。
ソフトウェアの「寿命」を示すサポートライフサイクル
さて、本題に入りましょう。すべてのソフトウェア製品には、実は「寿命」が設定されています。これを「サポートライフサイクル」と呼びます。
サポートライフサイクルとは、開発元の企業(Windowsの場合はマイクロソフト社)が、その製品に対してセキュリティ更新プログラムの提供や、仕様変更、新機能の追加といったサポートを提供する期間のことです。
これを高校生にもわかるように例えるなら、家電製品の「保証期間」のようなものだと考えてみてください。保証期間中であれば、製品に不具合が見つかったときにメーカーが無償で修理や交換をしてくれますよね。しかし、保証期間が過ぎてしまうと、修理は有償になったり、部品がなくて修理自体ができなかったりします。
OSのサポートもこれと全く同じです。サポートが終了したOSは、新しい脅威から身を守るための「修理」をしてもらえなくなるのです。
ちなみに、それぞれのOSのサポート終了日は以下の通りです。
- Windows 7: 2020年1月14日 (すでに終了しています)
- Windows 10: 2025年10月14日 (もう目前に迫っています!)
リスクその1:セキュリティが丸裸に!「脆弱性」の恐怖
サポートが終了したOSを使い続ける最大のリスク、それはセキュリティの問題です。ここで「脆弱性(ぜいじゃくせい)」という専門用語が出てきます。
脆弱性とは、プログラムの設計ミスや不具合によって生まれる、セキュリティ上の「弱点」や「穴」のことです。悪意のある攻撃者は、この穴を見つけて侵入し、ウイルスを仕込んだり、大切な情報を盗んだり、パソコンを乗っ取ったりします。
例えるなら、家のドアについている鍵の設計に、後から欠陥が見つかったような状態です。その欠陥を知った泥棒は、いとも簡単にあなたの家に侵入できてしまいますよね。
マイクロソフトは、サポート期間中、この脆弱性が見つかるたびに「セキュリティ更新プログラム」という修正パッチを配布して、穴を塞いでくれます。新しい鍵に交換してくれるようなイメージです。
しかし、サポートが終了すると、この更新プログラムの提供がパッタリと止まります。つまり、新しいタイプのピッキング手口(新たな脆弱性)が発見されても、あなたの家の鍵は古いまま放置されるのです。これは攻撃者にとって「どうぞ入ってください」と言っているようなもので、非常に危険な状態だと言えるでしょう。
リスクその2:新しいツールが使えない!ソフトウェア・ハードウェアの互換性問題
エンジニアとして働く上で、最新のツールや技術を使いこなすことは不可欠ですよね。しかし、古いOSを使い続けていると、ここにも大きな壁が立ちはだかります。
新しいソフトウェアや、プリンター、グラフィックボードといった周辺機器(ハードウェア)は、基本的に最新のOSで快適に動作するように開発されています。そのため、古いOSでは次のような問題が発生する可能性があります。
- 使いたい開発ツールや最新版のソフトウェアがインストールできない。
- 新しい周辺機器を接続しても、パソコンが認識してくれない。
なぜ周辺機器が動かなくなるのか、ここで「ドライバー」という専門用語を解説します。ドライバーとは、OS(現場監督)とハードウェア(専門職の職人)の間の通訳者のようなものです。OSが「この書類を印刷して」と指示を出しても、プリンターがその言葉を理解できなければ動きません。ドライバーは、OSの指示をハードウェアが理解できる言葉に翻訳し、逆にハードウェアからの報告をOSに伝える重要な役割を担っているのです。
新しいハードウェアのための「最新の通訳者(ドライバー)」は、古いOS向けには提供されないことがほとんど。結果として、せっかく買った最新機器がただの箱になってしまう、なんてことも起こり得るのです。
リスクその3:会社に大損害?コンプライアンス違反のリスク
個人のパソコンだけの問題ではありません。もしあなたが会社の一員として、サポート切れのOSを使い続けた場合、それは「コンプライアンス違反」と見なされる可能性があります。
コンプライアンスとは、「法令遵守」という意味です。多くの企業、特に個人情報を扱う企業では、顧客のデータを守るために、国や業界が定めたセキュリティ基準を満たすことが法律や契約で義務付けられています。
サポートが切れたOSを使うことは、セキュリティ基準を満たしていないと判断されることが多く、万が一情報漏洩などの事故が起きた際には、企業が多額の損害賠償を請求されたり、社会的な信用を失ったりする原因になりかねません。
これは、食品を扱うレストランが、衛生基準を満たしていない古い冷蔵庫を使い続けるようなものです。食中毒が起きてしまえば、お店の評判はガタ落ちし、営業停止処分を受けるかもしれません。エンジニアも、技術を提供するプロとして、こうしたビジネス上のリスクを理解しておく責任があります。
Windows 10も他人事じゃない!
「Windows 7が危険なのはわかった。でも自分はWindows 10だから大丈夫」と思っていませんか?
注意してください! Windows 10のサポート終了は2025年10月14日です。この記事を読んでいる時点では、もう残りわずかかもしれません。期限が来てしまえば、Windows 10もWindows 7と同じように、新たな脅威に対して無防備な状態になってしまいます。
「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、今からWindows 11へのアップデート計画を立て始めることが賢明です。
ここで、リスクを一度整理してみましょう。
リスクの側面 | Windows 7 (サポート終了済み) | Windows 10 (2025年10月14日までサポート) |
セキュリティ | 非常に高い。新たな脆弱性が発見されても修正されない。 | サポート期間中は更新プログラムが提供されるため比較的安全。 |
ソフトウェア互換性 | 低い。最新のアプリやツールが動作しない可能性が高い。 | 高い。まだ多くのソフトウェアが対応している。 |
ハードウェア互換性 | 低い。新しい周辺機器用のドライバーが提供されない。 | 高い。主要なハードウェアはまだ対応している。 |
コンプライアンス | 重大な違反となる可能性が高い。 | 現時点では問題ないが、サポート終了後は違反となる。 |
さあ、今すぐ行動しよう!
では、具体的に何をすればよいのでしょうか?答えはシンプルです。
- もしあなたがまだWindows 7を使っているなら、理由はありません。今すぐ新しいOSにアップグレードしてください!
- Windows 10を使っているなら、2025年10月14日という期限を念頭に、Windows 11へのアップグレードの準備を始めましょう。まずはお使いのパソコンがWindows 11のシステム要件を満たしているか確認することからスタートです。
OSのアップデートは、単なる個人の好みや利便性の問題ではなく、あなた自身と、あなたの所属する組織の情報を守るための、エンジニアとしての重要な「責任」なのです。
これからの学習のために
今回、OSのサポートライフサイクルと、それに伴うリスクについて学びましたね。このテーマに興味を持ったあなたは、ぜひ次のステップに進んでみてください。
- OSの仕組みを深く知る: OSがどのようにしてメモリやプロセスを管理しているのか、カーネルとは何か、といったOSの根幹をなす技術について学ぶと、コンピュータへの理解が格段に深まります。
- セキュリティの基礎を学ぶ: マルウェア、フィッシング詐欺、DDoS攻撃など、具体的なサイバー攻撃の手法と、それらに対する基本的な防御策について学んでみましょう。安全なコードを書く上でも役立つ知識です。
- クラウドに触れてみる: 現代の開発では、AWSやAzureといったクラウドプラットフォーム上でシステムを構築することが主流です。クラウド上で使われるOSや、そこでのセキュリティの考え方に触れてみるのも、素晴らしい経験になるはずです。
テクノロジーの世界は日進月歩です。常に学び続ける姿勢を忘れずに、信頼されるエンジニアを目指して一緒に頑張りましょう!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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