「=」「≠」「<」「>」の意味、知ってる? 数字の関係を表す記号の由来をやさしく解説
こんにちは。ゆうせいです。
今回は、「数学記号の由来シリーズ」の第2回目です。
テーマは、数字の「関係性」を表す記号たち。
つまり「=(等しい)」や「≠(等しくない)」、「<(より小さい)」、「>(より大きい)」などですね。
これらの記号は、数学の世界ではおなじみですが、「なぜその形?」と聞かれると…答えに困りませんか?
この記事では、そうした記号がどうやって生まれ、どういう背景があるのかを、やさしく丁寧にお伝えしていきます。
「=(イコール)」記号の由来とは?
初めて「=」を使ったのは誰?
1557年、ウェールズの数学者ロバート・レコード(Robert Recorde)が、著書『The Whetstone of Witte(知恵の砥石)』の中で「=」記号を使いました。
「この2つの量は、等しい。だから、書くたびに『equal to』と言うのは面倒だろう?だから、2本の平行線を書くことにしたよ。だって、これほど等しいものはないからね!」
という理由で、平行線(=)が“等しい”の象徴として選ばれたのです。
ただし、レコードが最初に使った「=」は今よりずっと長く、「===」のような見た目だったとも言われています。
「=」が定着するまでは…?
実は「=」はすぐには広まらず、他にも色々な記号が使われていました。
記号 | 使われた時期 | 意味や出典 |
---|---|---|
‖ | 古代ギリシャ~ | ディオファントスの『算術』の翻訳本など |
æ, œ | 中世ヨーロッパ | 「等しい(aequalis)」の略 |
aeq | フェルマーやデカルト | ラテン語の略(aequales) |
その後、ニュートンやライプニッツといった大物数学者が「=」を使い始めたことで、徐々に世界中で定着していったのです。
「≡」は「=」とどう違うの?
「≡」は“常に”等しいときに使う!
「≡」は、「恒等式」や「合同(図形が全く同じ)」を表す記号です。
例で見てみましょう!
- 方程式:
2x + 3 = 5(x によって成り立つかどうかが変わる) - 恒等式:
2x + 3 ≡ 3 + 2x(x に関係なく、常に等しい)
つまり、「≡」は「いつでも」「どんなときでも」等しいという意味があるんです。
「≒」や「≐」ってどう違う?
「だいたい等しい」ってどう書くの?
「≒」や「≐」は、「おおよそ等しい」「ほぼ同じ」といった近似(きんじ)を示す記号です。
よく使われる記号一覧
記号 | 読み方 | 意味の違い(ざっくり) |
---|---|---|
≒ | ほぼ等しい | 日本でよく使用される |
≐ | nearly equal | 海外ではこちらの方が一般的 |
≈ | approximately | より“ざっくり”な近似を表す |
≅ | congruent | 幾何学で「合同(図形が一致)」を表す |
~ | おおよそ、または同様 | 確率や統計などで使われることもある |
例で確認!
- π ≒ 3.14(近似値)
- √2 ≈ 1.4142(より大雑把な近似)
「<」「>」の記号はどこから来たの?
「<」「>」を最初に使ったのは?
1631年、イギリスの数学者トーマス・ハリオットが遺稿として発表した書籍で、初めて使用されました。
当時、探検家のウォルター・ローリーとともにアメリカ原住民と接触した経験があり、そこで見た記号をヒントにしたという説もあります。
なぜこの形?
これは明確な記録はありませんが、**「開いている方向の数が大きい」**という視覚的な感覚があるため、現在でも初学者向けに次のように教えることがあります。
例:
- 3 < 5(小なり:3の方が小さい)
- 7 > 2(大なり:7の方が大きい)
「≦」「≧」の誕生とバリエーション
いつから使われていたの?
- 「≦」「≧」という等号付き不等号が登場したのは1734年。フランスの数学者ピエール・ブーゲによるものです。
- その前に、ジョン・ウォリスが似た形の記号(「-」が上にある)を使っていたのですが、普及はしませんでした。
今はどう書く?
地域 | よく使われる記号 |
---|---|
日本 | ≦、≧(2本線タイプ) |
欧米 | ≤、≥(1本線タイプ) |
数学論文 | ⩽、⩾(厳密な書き分け) |
状況によっては、「≨」「≩」といった「等しくはないことを強調」する記号も登場します。
「≠」「⊀」「⊁」ってどう読むの?
ノットイコール(≠)
「≠」は、「等しくない」という意味で「ノットイコール」と呼ばれます。
この記号は、「=」にスラッシュを入れた形になっていますね。
タイプライター時代に、重ね打ちで表現しやすかったため、広まったとも言われています。
「より小さくない」や「より大きくない」
これらも「否定記号」としてよく使われます。
記号 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
⊀ | not less than | 小さくはない |
⊁ | not greater than | 大きくはない |
「≪」「≫」はどんなときに使うの?
「ずっと小さい」「ずっと大きい」を表す記号
これは特に物理学や理論数学でよく見かけます。
例:
- 1 ≪ 1,000(1は1000よりもはるかに小さい)
- 10⁶ ≫ 10²(10の6乗は10の2乗よりずっと大きい)
※ ただし、どれくらい「ずっと」かという明確な定義はありません。
まとめ:記号にも深いストーリーがある!
今回紹介したように、数字の関係を示す記号には、それぞれ発明者や背景が存在しています。
一見シンプルな「=」の記号ですら、初登場から定着するまでに300年近くもかかったんですね!
そして、記号の形やバリエーションには、当時の印刷技術、文化的背景、数学者同士の議論が大きく関係していたのです。
参考文献
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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