【新人エンジニア必見】なぜ図解は分かりやすい?二重符号化理論でエンジニアの伝達力を爆上げしよう
こんにちは。ゆうせいです。
新人エンジニアの皆さん、技術ドキュメントを読んだり、先輩のプレゼンを見たりしていて、「文字ばかりだと頭に入ってこないけど、図やイラストがあるとスッと理解できるな」と感じたことはありませんか?
実は、それにはちゃんとした理由があるんです。今回は、私たちの脳が情報をどう処理しているかに関わる「二重符号化理論」という考え方を紹介しますね。この理論を知れば、あなたのつくる資料やプレゼンテーションは、きっと格段に分かりやすくなりますよ!
二重符号化理論って、いったい何?
専門用語が出てきましたが、安心してください。まったく難しくありません!
二重符号化理論(Dual-Coding Theory)とは、心理学者のアラン・パイヴィオが提唱した理論で、「私たちの脳は、情報を処理するためのルートを2つ持っている」という考え方です。
その2つのルートとは、
- 言語的な情報を処理するルート(言葉、文字など)
- 非言語的な(視覚的な)情報を処理するルート(イメージ、図、写真など)
です。
例えるなら、脳の中に「テキスト専門の受付」と「画像専門の受付」という2つの窓口があるようなものだと考えてみてください。
あなたが「リンゴ」という文字を読んだとき、脳は「テキスト専門の受付」でその情報を受け取ります。一方で、リンゴの絵を見たときには、「画像専門の受付」が対応します。
そして、この理論の最も重要なポイントは、この2つの受付は独立しているけれど、互いに連携している、という点です。文字情報とイメージ情報が同時に脳に入ってくると、両方の受付が同時に働いて情報をがっちり結びつけてくれるのです。結果として、片方の情報だけの場合よりも、記憶に残りやすく、理解も深まる、というわけですね。
二重符号化理論のメリットとは?
では、この理論を意識すると、エンジニアの仕事にどんな良いことがあるのでしょうか?具体的なメリットを見ていきましょう。
メリット1:記憶に定着しやすくなる
最大のメリットは、何と言っても記憶への定着率が格段に上がることです。
例えば、システムの構成について説明する場面を想像してください。「サーバーAがリクエストを受け取り、データベースBに問い合わせ、その結果をクライアントCに返します」と文章だけで説明されるよりも、サーバー、データベース、クライアントが箱で描かれ、矢印で処理の流れが示された図と一緒に説明された方が、遥かに記憶に残りやすいはずです。
これは、文章という「言語情報」と、構成図という「視覚情報」が脳の中で強く結びついたおかげです。後で思い出そうとするときも、「あの図では確か…」というイメージからの想起と、「あの文章では確か…」という言葉からの想起、2つの手がかりがあるので、忘れにくくなります。
メリット2:複雑な内容の理解を助ける
エンジニアが扱う情報は、抽象的で複雑なものが多いですよね。アルゴリズムの流れ、ネットワークの構成、データベースの関連など、文字だけで完全に理解するのは至難の業です。
しかし、フローチャートやシーケンス図のような視覚的な表現を使えば、要素同士の関係性や処理の順序が一目瞭然になります。抽象的な概念を具体的なイメージに落とし込むことで、相手の頭の中にも整理された知識が構築されやすくなるのです。これは、相手の認知的な負担を軽くする、思いやりの技術とも言えますね!
でも、注意点もあるんです(デメリット)
もちろん、良いことばかりではありません。使い方を間違えると、かえって分かりにくくなってしまう可能性もあります。
デメリット1:情報の不一致による混乱
もし、文章で説明している内容と、提示している図が食い違っていたらどうでしょうか?例えば、文章では「サーバーAからBへ」と書かれているのに、図では矢印が「サーバーAからCへ」向かっていたら、読み手は混乱してしまいます。
言語情報と視覚情報がケンカをしてしまうと、脳はどちらを信じれば良いのか分からなくなり、理解の妨げになってしまいます。これを「認知的不協和」と呼びますが、こうなると最悪です。必ず、テキストとイメージは一貫性を持たせましょう!
デメリット2:無関係なイメージによる妨害
もう一つは、説明内容と無関係な、単なる「飾り」としての画像を使ってしまうケースです。例えば、難しい技術の話をしているスライドに、内容とは全く関係のない綺麗な風景写真が貼ってあっても、それは理解の助けにはなりません。
むしろ、読み手の注意がそちらに逸れてしまい、本当に伝えたい言語情報への集中を妨げるノイズになってしまう可能性があります。使うイメージは、必ず説明内容を補強するものを選んでください!
さあ、明日から実践してみよう!
二重符号化理論、いかがでしたか?決して難しい理論ではありませんが、その効果は絶大です。
あなたがこれから技術ドキュメントを書くとき、チームに進捗を報告するとき、ぜひこの理論を思い出してみてください。
- この文章を補足する、シンプルな図を一つ添えられないか?
- このシステムの動きを、フローチャートで表現できないか?
- このデータの関係性を、表や簡単な図で示せないか?
このように自問自答する癖をつけるだけで、あなたの「伝える力」は大きく向上するはずです。
今後の学習の指針
もし、このテーマにもっと興味が湧いたら、「認知負荷理論(Cognitive Load Theory)」についても学んでみることをお勧めします。これは、人間が一度に処理できる情報量には限界がある、という考え方です。二重符号化理論と合わせて理解することで、どうすれば相手の脳に負担をかけずに、効率的に情報を伝えられるか、より深く考えることができるようになりますよ。
まずは、次のあなたの資料作成から、ぜひ「言葉とイメージのタッグ」を意識してみてください。きっと、周りの反応が変わってくるはずです!頑張ってください!